「健康が一番」とはよく耳にします。
それでは「お金は二番」なのかと考えてしまいます。
某事業会社の創業家で大資産家の方が数回のがん手術の後で、「命が助かるなら全財産を差し出してもよい。」とおっしゃっていたそうです。
お金も地位も健康なくしては何の意味もありません。そもそも健康は順位をつけられるものではありません。
健康をなくして生きていけないのだから「健康が一番」ではなく「健康がすべて」なのだそうです。その言葉の主とは、私の尊敬する40年来の大先輩です。
その大先輩とは大学の先輩でリクルート福岡支社長をされていたK氏です。
大学4年生の1973年の9月から年末まで4カ月間リクルート福岡支社にてアルバイトでお世話になり、それ以来のおつきあいです。
アルバイト初日の営業研修で、RPG(Role Playing Game)とやらをさせられました。つまり、リクルートブックの営業マンと顧客に別れて役を演じます。
今では子供達がゲームで遊んでいるやつです。当時はなんて斬新な会社だろうという印象でした。
たまたま2ヶ月目には数名の正社員を抜いて支社で営業成績でトップに立つと、サツマイモや金一封で表彰されたり、正にゲーム感覚で仕事を楽しみました。40年前のことです。
その後、K氏はリクルート創業者の故江副浩正氏の薫陶を受け大きな仕事を次々にこなして成長されましたが、リクルート事件で身を引き独立されました。
K氏は江副氏の最後まで良き相談相手を努められていたようです。昨年2月、スキーの腕前はプロ級だった江副氏は越後湯沢からの帰路、東京駅を出たところで倒れられ不帰の人になられました。薄着でコートも着ずに車に乗り込もうとした僅かの間の出来事だったそうです。
昨年12月中旬、歌舞伎役者中村獅童氏のご母堂の小川陽子さんも風呂場で亡くなられています。
因みに、ヒートショックで毎年1万数千人が風呂場やトイレで亡くなっています。
所謂、ヒートショックとは急激な温度差による血管の収縮による心筋梗塞や脳梗塞で落命する恐ろしい病気です。
高齢者で高血圧や心臓病などの持病をお持ちの方は特に注意が必要です。
ITや通信分野を除く日本最大のサービス産業を創業された江副氏は、38歳定年説を提唱され多くの人材の独立を支援してこられました。
“自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ” 江副氏の創業されたそのリクルートがいよいよ上場します。
その言葉を実践してこられた江副学校のK氏の胸中を思うとき「健康がすべて」の意味を良く理解できる気がします。
江副氏のご冥福を心からお祈りいたします。
享年72歳。
合掌。
written by 筒井