健康・医療戦略(1)

5月の通常国会で健康・医療戦略推進法が制定されたが、昨日22日その戦略が閣議決定された。
従来、厚労省、文科省、経産省の縦割りを排して医療分野の研究開発の司令塔となることが期待された「日本版NIH (米国National Institute of Health)」の文言の記載は見送られた。
結果的に、その役割は日本医療研究開発機構(平成27年4月1日設立予定)に委ねられることになった。

急増する医療費、特に高齢者医療費の抑制の切り札として、医療の技術革新や産業育成で国民の健康寿命の延伸と長寿化を達成する。
同時に国際競争力のある医療産業の育成を図る。
安倍政権の成長戦略の要として安倍首相自らが推進本部長を兼務する。

2020年までの中期的な数値目標:
1.医療分野の研究開発→がん治験薬10種類以上と創薬ターゲット10件

2.新産業の育成:健康増進・予防・生活支援関連産業4兆円→10兆円

3.医療の国際展開:海外拠点3拠点→10拠点、医療機器輸出5000億円→1兆円

4.医療のICT化→2020年までに介護・健康分野のデジタル基盤を構築

5.日常的な介護を受けずに自立して暮らせる「健康寿命」を1歳以上

大胆な戦略提言である。
しかし、過去にも各政権で様々な戦略アドバルーンを掲げては萎んでしまうという繰り返しであった。
今回は関連法2法が成立したことでもあり、同時に医療財政の破綻という時限爆弾を抱える中での国家戦略提言である。

「健康・医療戦略を総合的かつ計画的に推進するためには、国、地方公共団体、大学等の研究機関、医療機関、事業者が相互に連携を図りながら協力し、それぞれの役割に応じて積極的に取り組むことが重要である。」という視点は正鵠を射ている。
今後の動向に大いに注目したい。
(続く)

written by 筒井

投稿者:

ら・べるびぃ予防医学研究所

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