中でも「機能性低血糖症」については、院長先生ご自身が患い、それを栄養医学で克服した経緯もあり、開院以来一貫して治療に取り組んでいらっしゃいます。
当日は、インタビューの前にマリヤ・クリニックで開催されていた発達障害治療の会研修会にも出席させていただきました。
マリヤ・クリニック
・今年の4月に発行された「新・栄養医学ガイドブック」を読ませていただきました。
網羅しているでしょう?
・はい、栄養素の解説だけではなく、なぜ現代に栄養医学が必要とされるのかや、そもそもの身体の働きまで体系的に勉強することができました。
私たちの栄養医学の始まりは、院長が機能性低血糖症に苦しんでいるとき、柿谷正期先生が新聞に連載していた低血糖症についての記事を読んだことがきっかけでした。
柿谷先生の記事によると低血糖症は玄米食で砂糖断ち、ということで白米を胚芽米に、白砂糖をキビ砂糖にしたところ体調が変わってきました。
そこで「これは?」を思い、いろいろと勉強し始めたのです。
栄養医学とは、必要な栄養素を補給することによってその人本来の健康な状態へ回復させる治療法です。
30年前に開業したばかりの頃は「栄養医学などと言っている怪しげなクリニックだ」と、いくら説明しても治療に同意してくれない患者さんや、「そんなところに行くならもうあなたの治療はしない」と精神科の先生に言われ、うちに来なくなった患者さんもいました。
でも、この10年ほど、患者さんの理解や受け入れ方が変わってきたことに驚いています。
今では多くの患者さんが遠方から来院され、治療法を教わりに来る医師も少なくありません。
・マリヤ・クリニックは機能性低血糖症の治療において、日本のリーダー的存在になっていますね。
はじめは、低血糖症の治療法は、日本でもアメリカでも分からなかったのです。
それを私たちが開発してきたという思いはあります。
他の病院やクリニックで私たちの治療法を真似ているところもありますが、すべてを網羅して真似するのならいいのですが「これを飲めば治る」というようなことを言って治療をするところもあるようです。
本やテレビで低血糖症が話題になったときには、200くらいのクリニックが機能性低血糖症の治療を行っていました。
機能性低血糖症では5時間のブドウ糖負荷検査が必要なのですが、それをきちんとやっているところはほんとうに少ないのです。その検査の重要性もわかっていないようです。
私たちはライフワークとしてこれをやっていくのだというだけです。
コツコツと治療をきちんと行っていくだけ。
以前は依頼されれば講演もお引き受けしていたのですが、今はお断りしています。
生きがいは患者さんの治療です。いまさら名前を売る必要もないので、ただコツコツと治療をしてその成果を積み重ねていくだけです。
・今日の研修会は、患者さんのためのものなのですか?
患者さんのためでもあり、治療の区切りとして治療法を再確認して研究を積み重ねていくためでもあります。
それを治療の手引きとして出版し、それを読んで他の先生たちが真似てくれればそれでいいと思っています。
・先生たちの経験をシェアするということですね。
ただ、治療は、本を読んでその通りにやればいいというものではなく、医者や栄養士がその人の持ち味をもって取り組まなければ成果は得られないと思います。
・それは、手間も時間もかかることだと思いますが、それでもやっていこうという原動力は何でしょう?
まず、私自身が病気だったので、患者さんに共感できるというのが大きい。
また、私はクリスチャンなので、良いものを分かち合うということに意味があると思っています。
さらに、うちの栄養士はそういう指導をするのが嫌いじゃない人ばかりなのです。
・栄養士さんたちは、始めから栄養医学のことを学んでいる方たちなのですか?
いいえ、育てるんですよ。
私たち独自の治療をするためには管理栄養士は欠かせない存在です。
ですから、2年くらいかけて栄養医学を学んでもらっています。
その一つが今日やっていたような勉強会です。
私たちは根本治療を行っています。
マリヤ・クリニックがほかの医療機関と違うところは、症状の緩和(対症療法)を目指すのではなく、その症状の原因を探り、不足している栄養素の補給と共に、身体の本来の回復力を促す栄養の補給や免疫力の強化を図っていくということです。そして、患者さんあるいはその保護者や家族にこの治療法を理解してもらい、自分で健康管理が行えるようにしていくことです。
そのためには医者が管理栄養士や看護師などほかのスタッフと緊密に連携していくことが他の病院と比較してもより重要なのです。
発達障害の治療で息子さんがよくなった医師からマリヤ・クリニックは機能性医学の実践をしていますね、と言われたことがあります。
スタッフが医者の指示にただ従うのではなく、医者とスタッフが共同して治療していることが治療の成果を上げていきます。
他の病院とは治療に対する手厚さが違うと思っています。
例えば、血液検査をして異常がなければ問題なしと判断するクリニックも多いようですが、私は患者さんが不調を訴えている限り、何らかの原因があるはずだと考えています。
そこで、さまざまな検査を駆使して原因を追究するようにしています。
・そこで毛髪ミネラル検査もご活用いただいているのですね?
毛髪ミネラル検査は、発達障害の治療にいらっしゃる患者さんに行っています。
有害ミネラル(有害金属)は発達障害の原因の一つとも言われていますから。
発達障害の患者さんは、銅が高く亜鉛が低い傾向が強いですね。
・発達障害の治療はいつから始められたのですか?
10年ほど前です。
当時、機能性低血糖症の治療だけでなく、精神神経症状の内科的治療を模索していました。
そこで代謝異常や有害ミネラル(有害金属)、食物アレルギーの影響に気がついたのです。
発達障害児の検査をすると異常値が多く出て、さらに栄養的にも不足していることがわかりました。
貧血やタンパク質不足を治すだけでも症状が改善する場合があります。さらに、グルテンフリー・カゼインフリーはとても効果的です。
ら・べるびぃで出した「栄養素のチカラ」はいい本ですね、とても参考になりました。
ただ、発達障害児は代謝障害や有害ミネラル(有害金属)の影響もあって、治療はなかなか困難で繊細なものです。患者さんと家族による違いが大きいのです。
機能性低血糖症の治療に関しては、マリヤ・クリニックが世界のトップだと自負しています。
しかし、発達障害に関してはそこまでのレベルになっていない。
10年後には発達障害の治療法を確立したいと思っています。
インタビューの間中、院長先生と事務長ご夫妻の患者さんに対する情熱と愛情がひしひしと伝わってきました。
長時間にわたり、ありがとうございました。
所在地: 千葉市稲毛区小仲台6-19-19 Myビル1F
電話:043-287-2624
ら・べるびぃ予防医学研究所より