犯罪白書を読み解く

昨日、神戸5人殺傷事件についてとりあげ精神医学と犯罪について述べました。

このような事件が起こると往々にして精神疾患との関連を疑うような報道がなされます。
はたして精神疾患と犯罪に関係はあるのでしょうか?
そこで、精神障害者の犯罪について発表されている資料から調べてみました。
精神障害者と健常者の犯罪率を比較すると
健常者の犯罪率は、25万8,785人÷1億2,410万人×100=0.21%
精神障害者の犯罪率は3,701人÷320万人×100=0.12%
となり、健常者の犯罪率の方が高いという結果となります。

しかし、重犯罪の犯罪率を見てみると殺人16.1%(健常者0.3%)、放火19.6%(同0.2%)と飛躍的に高くなります。


また、アイスランドでは、80年間(1900~1979年)に起きた殺人事件について調べた結果、全体の三分の一が精神障害者による犯行であったと報告されています。このように、精神障害者による重犯罪は、諸外国でも同様の傾向を示すことがわかりました。

しかしながら、「精神疾患」と一括りに言っても、精神疾患にはDSM-Ⅳ(アメリカ精神医学会)やICD-10(世界保健機構)が定める100種類以上の分類があり、すべての精神障害者がこのような犯罪をおかすわけではありません。

一般的に犯罪傾向が強いのは、精神作用物質使用による精神および行動の障害 F1 (F10-F19)やパーソナリティ障害F6(F60-F69)の中のクラスターBと呼ばれるグループとされています。

さらに、薬物の副作用や体内の栄養素の不均衡が精神疾患様の症状を引き起こすことも知られてきました。このような悲劇を繰り返さないためには、投薬中心の治療だけではなく、血液や尿を用いた生化学的検査からそれぞれの個人のバイオタイプを分類し、それぞれに適した治療を行うことが望まれます。

参考資料)
総務省 人口推計(平成25年10月1日現在)
内閣府 平成25年度障害者白書
法務省 平成26年版 犯罪白書
Psychiatric aspects of homicide. Acta Psychiatr Scand. 64(5):363-72. 1981

written by ら・べるびぃ予防医学研究所

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ら・べるびぃ予防医学研究所

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