ら・べるびぃ予防医学研究のミネラル検査を活用している先生のインタビューシリーズが始まります。タイトルは「お話聞かせてください!」。
記念すべき第1弾は「クリケ歯科クリニック」の栗家洋先生にお話をうかがってきました。
クリケ歯科クリニック
栗家先生は、横浜市戸塚区で32年間、歯科医として活躍されています。
「地域の歯医者さん」というだけではなく、患者さんたちの栄養指導にも積極的に取り組まれ、口から始まり全身の健康のために治療を行っています。
某有名女子プロゴルファーなど、トップアスリートも栄養指導や咬み合わせの調整などに訪れているそうです。
当日は、奥様と一緒ににこやかに出迎えていただきました。
・なぜ歯科クリニックで栄養指導をしようと考えられたのですか?
クリニックを開業した当時はまだまだ歯科医師は少なく、学校で習ったことを普通にやっていました。初めの10年はそれで良かったのです。
その後、歯科医の数が急増し、歯科医院も増えました。 ゆるやかな増え方ではなく、急激に増えたのです。 この近所にも歯科医院が増え、患者さんが減っていく、さあ、クリニックの方向性をどうにかしなくては、と悩み、その結果、予防で行こうと決めたのです。
・なるほど…付加価値を模索されたのですね。
予防については、勉強会やセミナーに数多く参加するなど、いろいろな形で勉強しました。
そのころ参加したセミナーで、アメリカの歯科医は内科の下を狙っているという話も刺激になっていました。歯科だけにとどまらず、もう一歩踏み込んだことができるのではないかと思ったのです。
そんなときにセミナーで知り合った先生から、毛髪ミネラル検査を紹介してもらいました。
毛髪検査くらいならやってみようかなと軽い気持ちでしたし、患者さんに痛みがない非浸潤性の検査だというところにも惹かれたのです。
ただ、当時はミネラルをはじめ栄養素のことはよく分かっていなかったので、そこから猛勉強しました。こうして歯科と内科の間の「栄養」という分野に活路を見いだしていったのです。
・歯が痛くて来る患者さんに、栄養指導をされるのですか?
そうです。
体は食べたもので出来ていますから、基本は食事と言うことになるからです。
患者さんによっては、めんどうくさいな、虫歯だけ治してくれよという方もいらっしゃいます。
でも、うちはこういう歯医者でやっていこうと決めたので、ぶれることはありませんでした。
・対処療法も大事ですが、根本療法を積極的に行われているのですね。
私は先日、先生から教えていただいた「ジョコビッチの生まれ変わる食事」という本を読み、とても感化されて食生活を改めました。
本通りの完璧なグルテンフリーはしていないのですが、大量に野菜を摂り、肉や炭水化物を減らしました。そうしたら、疲れにくくなったんです!
そうでしょうね!わかりますよ。
オリンピック並みの選手の指導をしている運動生理学の先生がいらっしゃって、その方はご本人も箱根駅伝に出場したアスリートです。
昔は、運動、肉、プロテインという生活をしていたそうですが、体が悲鳴を上げ、その後勉強した結果、今や完全なベジタリアンですよ。
今は、まったく疲れなくなったとおっしゃっていました。
選手たちにも肉よりも野菜で指導したところ、筋肉の付き方が違うそうです。
うちは患者さんを「健康にする」「病気を治す」ということが目的ですから、そうしてアスリートの方が結果を出してくれれば一般の方へ、いい実例として紹介できて一石二鳥なのです。
・なるほど、たしかに私も以前からグルテンフリーという考え方は知っていましたが、実際に行動するところまで動かしたのはジョコビッチでした。
でも、まだ一般的には、体を動かしたら肉をモリモリ食べて元気!というイメージがありますよね。
そうですね、スポーツ選手が「負けが込んでるからスタミナをつけるために焼肉を食べに行こう」などと言ったりしますが実は大間違い。むしろサラダバーに行きなさい!と(笑)
・イメージが変わりますね。(笑)
うちの55歳の女性の患者さんの話をしましょう。
その方が来院されたときにグルテンフリーの話をしたのです。
それから1か月くらいして予約の電話をもらったとき、「先生に話があるから」とおっしゃる。なんだろうなと思っているとその方が来院し、「先生の話は絶対に嘘だと思った」と言うのです。
だから嘘を暴こうと、食事をグルテンフリーにしてみたのだと。
そうしたら3日で体が変わってきた。まさかと思ってさらに1か月続けたらずっと悩まされていたひどい更年期障害が消えた、と興奮しながら報告してくれました。
嘘を暴くために始めたらウソのように元気になったと言うのです。それから2~3か月後に来院されたときには、今更もう小麦製品を食べようとは思わないと言って、完全にグルテンを絶っていました。
どうしたら病気にならない体を作れるかというと、やはり基本は食事と言うことになります。
でも、食事を変えるということは人生を変えるということ。そのためには強い覚悟が必要です。
「一つの内閣を変えるより、家庭の味を変えるほうが難しい」という人もいます。
だから、家庭で料理を作っている人にきちんと理解してもらうことがとても大切になります。
・その難しいことを実践してもらうためには、どんな話をされるのですか?
それがなかなか難しいのです。
その方のようにすぐに効果が実感できれば続きますが、誰もが劇的に変わるかというとそうでもない。
そうなるとやはり継続してもらうことは難しくなってしまいます。
そういう意味では、ダイエット目的の方がやりやすい。
入り口がダイエットであれば、最終的には食生活を改善して健康な体を作るというふうに持っていきやすくなりますから。
・県外からも栗家先生の栄養指導を受けに来る方もいらっしゃると聞きました。
はい、遠くからいらっしゃる方もいます。やはりアスリートの方の口コミも大きいと思います。
アスリートの方達は体に対する自覚が違いますから、栄養指導にも真剣に取り組まれるので効果が出やすいですね。
・ら・べるびぃ予防医学研究の毛髪ミネラル検査をご活用いただいていますが、どういうタイミングで使っているのですか?
患者さんに見せる道具として、栄養療法のきっかけとして使っています。
患者さんから食生活を聞き、その食事が体を悪くしていると話しただけではなかなか皆さん納得しません。
毛髪ミネラル検査は、実際に体に有害金属が溜まっていることが数値として見えるので、結果を説明することで患者さんが納得しやすくなります。
そこからが始まりです。
体にたまった悪いものを、食事とサプリメントでいかに排泄していくかを指導していくわけですね。
ミネラルは奥が深い。
ほんとうは、こういう検査を保険制度で使えるようにすべきだと思います。
国がこれだけ医療費を使っておきながら、病気になる人の数は変わっていません。
病気になってから治療するということに限界があるのですから、それなら病気にならないような体を作ること、それが一番大事なことだと思うのです。
間違った食生活で体内ミネラルが崩れる、それで病気になった、じゃあ薬を飲んで治しましょう。
これが現状です。
でも、薬は、効果はあるけれど副作用が避けられない。
それがないのが食事、なのです。
・お話は分かるのですが、ジョコビッチの本に載っていたレシピを実践するのはかなりハードルが高そうです。
確かにあの通りは無理ですよね(笑)
グルテンフリーを始めるなら、まずはパンや麺類を止めることから始めるといいです。
いきなり全部やろうと無理をしても、続かなくては意味がありませんから。
先日、毛髪ミネラル検査をした75歳の女性はヒ素がすごく高かったのです。
食生活をうかがうと、発酵玄米を主食として食べていました。ご主人も同じような結果になっていました。
健康のために玄米を食べる人が多いのですが、玄米はカドミウムとヒ素に汚染されている場合が多く、無害にして食べるための手間暇が大変と言うこともあって、最近ではもうおすすめしていません。
油を変える、グルテンをやめるなど、やることは山ほどあります。
ほんとうはこういうことを医師がするといいと思いますが、たいていの医師は栄養指導を栄養師に任せてしまっている。
病院や大学の先生達は勉強熱心なので、こちらに方向を向けてくれれば強い力になると思いますが、そうはいっても色々なしがらみが多く、思うように動けないということもあるようです。
それでも最近では、ようやく意識の高い医師が分子栄養学(栄養素で病気を予防する、または病気を治療するという発想に基づく学問)を勉強し始めています。
本当にそうした動きが全国に広まっていくよう願っています。
インタビューは大いに盛り上がり、グルテンフリー以外にも、オメガ6と3、EPA、DHA、カゼインフリーなど様々なことをお話ししていただきました。
長時間、熱のこもった貴重なお話ありがとうございました。
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