【実験】レタスとカットレタスのミネラル成分の違い

毎日の食事に便利なカット野菜、最近は冷凍したものもあり、ますます便利になってきています。

しかし、カット野菜は、洗浄の際に栄養素が流れてしまうから栄養価が低いという情報も目にすることがあります。

実際のところどうなのか?本当に栄養価が低いのか検証を行いました。

 

まずはレタスとカットレタスをカラカラに

 

ミックスされたカット野菜だと検証がわかりにくくなってしまうので、1種類の野菜、レタスとカットレタスを近所のスーパーで購入して検証を行いました。

 

レタスの96%は水分。このままでは分析できないので、まずは約80℃の熱でカラカラになるまで乾燥させます。

 

 

乾燥を終えると水分が蒸発してかなり小さくなっています。カラカラの状態になるまで3日間もかかりました。

 

 

レタスを粉末に

 

乾燥したレタスをそのまま分析することはできないので、中学生の実験で使用した乳鉢を使って粉々の微細な粉末にします。

粉末にしているとほのかにレタスの香りがします。

 

 

レタスを溶かして液体に

 

粉末にしたレタスは、分解(溶液化)するため硝酸などの酸を添加して溶かしていきます。

酸が入れると、レタスと反応しガスがプクプクと発生します。

 

 

そして、酸を入れたレタスを分解する装置にセットして、熱をかけ液体の状態にしていきます。

この装置は分厚い鉄板に穴を開けたホットプレートのようなもので、粉末や固形の物を溶液化するのによく使われています。温度と時間を厳密に調整できるホットプレートそのものになります。

 

 

分解が終わるとレタスは液体の中に溶けた状態になります。

 

 

そして分析

 

液体になったレタスは、ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計)という装置を使ってミネラルの量を測定します。

ほとんどの方はなかなか目にする装置ではないですが、水道水や食品に含まれる有害金属の測定、血液成分の分析、医薬品の安全性評価など、幅広い分野の研究開発や品質管理のために使われています。

 

 

レタスとカットレタスは同じ

 

検証の結果、レタスとカットレタスのミネラル成分は、ほとんど違いはないという結果になりました。

多少の違いはありますが、これは産地による違いによるものと考えられます。もし、洗浄工程によってミネラルが流れ出てしまっているとしたら、もっと差があってもいいように思えます。

カット野菜工場では、鮮度を保つためカットする時間や洗浄する時間を迅速化することでミネラルが流れ出てしまうのを防ぐため、いろいろな対応が行われていると考えられます。

 

 

もうひとつ気になるビタミンですが、水溶性のビタミンB1やビタミンB2、ビタミンCでも6~7割以上残っているとの報告があるので、ビタミンに関しても生野菜とカット野菜はほとんど違いがないといえそうです。

生野菜も洗って使用するので栄養素について過度に気にする必要はないと思います。

検証結果は乾燥重量当たりの濃度となるので、レタス1個が500g、水分量が96%と考えると、カリウムならレタス1個で約790mg摂取できることになります。

カリウムの摂取基準は、成人男性では1日2,500㎎、成人女性では2,000㎎です。レタスだけでカリウムを摂取するには3個も食べなくてはなりません。

 

レタスは栄養摂取源というよりも食感や彩りを楽しむ食材のようですね。

 

ら・べるびぃ予防医学研究所では毛髪や爪、被毛ミネラル検査のほかにもご依頼があれば様々な検体の元素を分析しております。

ご興味があればぜひお問合せください。

 

問い合わせ先

Mail:inf@lbv.jp

TEL: 03-5614-2711

ら・べるびぃ予防医学研究所 検査チーム

 

 

 

ビタミンCの分析風景

とある企業様からビタミンCの熱の強さについて分析依頼を受けましたので分析風景を紹介いたします。

ビタミンCの分析法には、ヨウ素滴定法とインドフェノール法がありますが、今回はインドフェノール法でビタミンCの濃度を求めました。
分析にはビーカーやビュレットなどを使います。
もしかしたら高校生の時に実験で使用した経験がある方もいるかもしれません。

細長いビュレットの中にビタミンC溶液が入っています。

この方法は、インドフェノール溶液にビタミンC溶液を滴下すると、インドフェノールの青色が紅色になり、最終的に無色透明になるのを利用しています。
この時、溶液の中では定量的に酸化還元反応が起こるので、インドフェノール溶液にどのくらいのビタミンC溶液を滴下したかを比較することでビタミンCの濃度を求めることができます。

実際に滴定を行った動画を見ていただくと、どのような形で反応が進むのか確認できます。

ちなみに、ご家庭でもヨウ素滴定法を使って簡易的にビタミンCの比較ができます。
お子様の夏休みの自由研究にいかでしょうか?

比べてみよう!! 食材のビタミン C
https://www.t-scitech.net/history/miraikan/shokuhin/kagaku.html

キャベツの測定

ら・べるびぃ予防医学研究所では、毛髪や爪の他にも野菜や水など様々な分析のご依頼をいただきます。

今回の測定依頼はキャベツ。そこで、キャベツの測定がどのように行われるかご紹介します。

まず、キャベツを乾燥させます。
キャベツは芯があるので、完全に乾燥するまで5日間かけて乾燥させました。

 

乾燥したキャベツの重さを量ります。
これは、乾燥前のキャベツと重さを比較し、キャベツの水分量を求めるためです。

 

乾燥したキャベツを乳鉢で粉末状にします。

これは、そのままでは分解しにくいため粉末状にして、より分解をしやすくするためです。

このように粉末にします。

粉末状にしたキャベツを分解容器に移し替えます。

容器に移し替える
硝酸を加える

キャベツを入れた分解容器に硝酸を入れます。
硝酸を添加後、蓋を軽く締めて一晩放置します。
これは、分解装置で分解する前の仮分解作業にあたります。
(※硝酸は、一般的に測定検査に広く使用される分解用の酸です。)

 

キャベツが分解して溶けている状態

一晩放置して観察してみると、粉末状のキャベツが分解され、ほとんど見えなくなっています。

 

一晩放置した容器を分解装置に入れます。
この分解装置の黒い部分が高温となり、硝酸を加熱しながらキャベツをさらに分解していきます。

加熱装置
黒い部分が熱くなります

 

ここまでできたらようやく測定です。

測定は、毛髪や爪などと同様にICP-MS(アイシーピーマス)という測定機器で行います。

ICP-MS