髪はなぜ薄くなるのか? 〜私たちの頭皮が語ること〜

髪の毛はどうして薄くなるの

〜私たちの頭皮が語ること〜

髪は、見た目の印象だけでなく、その人の心や体調を映し出す鏡。だからこそ、髪の悩みは単なる美容ではなく「ライフスタイル全体」とつながっているのかもしれません。

髪の毛は、鏡を見るたびに他人からどう見られるのか、今日も元気かな?と確認してしまう存在。ヘアスタイルがキマると自己満足で気持ちがウキウキするし、誰かに会いたいと思う時もありますね。

若い頃は無造作に寝癖を直すだけで外に出られたのに、ある日ふと「分け目が広がってない?」「髪型、変じゃない?」なんて気になり始める…。エスカレーターに乗ったとき、天井の鏡に映った自分のアタマにショックを覚えるなど、髪の毛は、年代に限らず男女ともに常に意識しちゃいますね。

髪の毛の現象についての原因を簡単に探ってみましょう。

1.加齢

年を重ねると細胞の新陳代謝が鈍くなり、髪は細く、ボリュームは控えめに。まるで「もう全力ではしゃぐのは疲れます」と言っているみたい。また活性酸素が細胞をサビさせて細胞の新陳代謝に重要なミトコンドリアの生成が追い付かなかったり、頭皮の皮脂分泌や酸化した皮脂が毛包環境を悪化させたり、毛が細くなったり、雨の日にくせ毛になったり、ボリュームがめっきり少なくなったりもします。同時にメラミン色素の生成も追い付かず、さらに白髪も登場し、頭皮のカレンダーは年齢を隠しません。

アンチエイジング対策に毛染め、ヘアウイッグ、養毛剤、育毛剤で対策されている方も多いのではないでしょうか。女性の薄毛も意外に多く、常に付きまとう問題です。

肉体の老化のバロメーターの一つとしてみてしまいますよね。

2.ストレスと血流不足

ストレスで交感神経が優位になると、血管がキュッと縮んでしまいます。結果、頭皮への栄養がストップ。イメージするなら、髪は田んぼの稲。水が届かない田んぼは実りませんよね。頭皮が堅くなり、血流不足のために栄養素が行きわたなくなり、脱毛するメカニズムとも考えられます。

その原因は仕事や生活、性格も相まって、ストレスによる自律神経の枝である交感神経が優位になりカラダが臨戦態勢となり血管を収縮させてしまう考えです。その場合は手足が冷たくなる時があるようです。戦う前にトイレも近くなるし。

血流不足になると栄養素が毛乳頭に行き渡らず、育毛に貢献しないわけです。髪にはストレスが大敵といわれる所以がそこにあります。

3.男性ホルモン(デヒドロテストステロン)

カラダの部位により貢献するホルモンが違います。眉毛は男性ホルモン。頭皮は女性ホルモンで育毛を促進させます。なので、まゆ毛用の男性ホルモン含有の育毛薬クリームを長期的に頭皮に塗布した場合はハゲちゃうかもしれません。

これは男性ホルモンのテストステロンが悪玉男性ホルモンのデヒドロテストステロンに変化した場合に脱毛が始まるといわれています。

AGA治療は、飲み薬ではテストステロンがデヒドロテストステロンに変化させない薬を商法しています。頭皮に塗布するミノキシジルなどは、血流を促す目的です。

こうすした治療は、女性ホルモンが優位(男性ホルモンが抑制され相対的に女性ホルモン の影響が強くなる)になるともいわれます。女性ホルモンが活発になる為、男性では、髭が薄くなり、体毛が抜け、カラダが丸みを帯びるなども見られる場合があるようです。

なので、一般的には男性ホルモンの生成が活発な方でヒゲの濃い男性はハゲる確率が高くなるかもしれません。

4.薬の副作用

薬はカラダの回復をを助けてくれる一方で、髪には「ちょっと休んでて」と命じてしまうことも。抗がん剤による脱毛は有名ですが、実は他にも多くの薬が髪に影響を与える可能性があるんです。

薬で起こる休止期脱毛は、降圧剤、高脂血症(脂質異常症)の薬、中枢神経用薬、経口血糖降下剤、痛風の薬、骨代謝改善剤、内 服抗真菌剤、抗結核剤、ホルモン剤、インターフェロン製剤、緑内障・高眼圧症の薬、抗甲状腺剤、抗リウマチ剤、血液凝固阻止剤などです。もちろん体質と薬効のかけ合わせは個人差がありますが、抗がん剤での副作用とされる脱毛は皆さんの知るところです。

5.生活習慣や睡眠不足

代謝が正常に行われ、細胞がきちんと機能するためには、規則正しい生活や十分な休息、睡眠が必要です。栄養素は髪にはたんぱく質だけでなくミネラルやビタミンの補給が欠かせません。

生活習慣を見直し、過労に至らせないことも大切ですので、今の自分のカラダを知ることが大切です。

6.遺伝

最後に、どうしても逆らいにくいのが遺伝。顔や背丈と同じく、髪質やクセ毛、薄毛の傾向も受け継がれることがあります。顔のつくりや体つきや身長、体重などと同じく、まさに“DNAのいたずら”。 遺伝による髪質はクセ毛とともに伝えられると考えられています。

さあ、遺伝にも精一杯抵抗して、イキイキした髪を維持していきましょう。

髪の毛と「遺伝」は深い関わりがあります。

特に 髪の太さ・色・生え方・くせ毛・薄毛のなりやすさ などは、親から受け継ぐ遺伝子の影響が大きいです。

髪質(ストレート/くせ毛)

* くせ毛や直毛は遺伝で決まることが多いです。

* 例えば日本人は直毛が多いですが、欧米人はくせ毛や縮毛の割合が高いのは遺伝的要因です。

世界で大きく分けられるのは、東洋人のモンゴロイド、欧米人のコーカソイド、黒人のニグロイドと分けることができます。

髪の色

* メラニンの量や種類を決める遺伝子で左右されます。

* 日本人は黒髪(ユーメラニンが多い)になりやすいですが、欧米では金髪や赤毛など多様性があります。

髪の太さ・密度

* 1本1本の髪が太い/細い、毛量が多い/少ないも遺伝が関係します。

* アジア人は髪が太くて密度も高い傾向があります。

薄毛(AGA・FAGA)

* 男性型脱毛症(AGA)は特に遺伝の影響が強く、母方から受け継ぐ「X染色体のアンドロゲン受容体遺伝子」が関与する、と研究でわかっています。

* ただし「遺伝する=必ず薄毛になる」ではなく、生活習慣やホルモンバランス、ストレスなど環境要因も大きく影響します。

白髪

* 白髪が出やすい時期や進行スピードも遺伝の影響を受けます。

* 両親のどちらかが若白髪なら、自分も早くから白髪が増える傾向があります。

そんな髪についてまとめた髪ハンドブックをら・べるびぃ予防医学研究所で発刊しております。ご興味があればぜひお申込みください。

ら・べるびぃ予防医学研究所
「知ることは、すべてのはじまり」
ミネラル分析の専門機関として、毛髪・血液・飲食物など様々な検体を分析しています。
2000年の創業以来、皆さまの健康に役立つ検査や情報を提供しています。
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口の中が不健康だと生活習慣病リスクが上がる!?

藤田医科大学の研究チームがとても興味深い発表をしました。
「歯や舌の状態が、血糖値・脂質・腎臓の健康と関係している」という報告です。

研究の内容

対象は50歳以上の118人(男性80人・女性38人)。
全身の健康データ(血糖・コレステロール・腎機能など)と、口の中の状態(歯の数、舌の汚れ、嚥下や発音の機能など)を比べました。

すると…

  • 血糖値が高い人 → 歯が少なく、舌や唇の動きがぎこちない
  • コレステロール異常のある人 → 舌苔(舌の白い汚れ)が多く、発音もスムーズでない
  • 腎機能が悪い人 → 歯が少なく、舌苔が多く、「た」「か」の発音の滑らかさが低下している

という傾向が見つかったんです。

なぜ口の中と全身がつながるの?

研究チームによると、

  • 口の中が汚れていると細菌が増える
  • 歯茎に炎症が起きる
  • その炎症や菌が血管や全身に悪影響を及ぼす

という可能性が考えられるそうです。

つまり、歯みがきをサボったり、口腔ケアが不足すると…将来的に糖尿病や脂質異常症、腎臓病のリスクが上がるかもしれないんですね。

この研究のポイント

  • まだ観察研究なので「絶対に因果関係がある!」とは言えません
  • でも、口の健康が「隠れ病気のサイン」になる可能性が高い
  • 健診のときに口腔検査を追加すると、病気の早期発見につながるかも

日常生活でできること

  1. 歯みがき+フロスでプラークを残さない
  2. 舌ブラシや舌ケアで舌苔を減らす
  3. 定期的に歯科健診を受ける
  4. よく噛んで食べる(咀嚼は口腔機能アップ)

まとめ

「口は健康の入り口」とよく言いますが、本当にその通り!
歯や舌の状態が悪いと、糖尿病・脂質異常症・腎臓病のリスクが上がる可能性があるとわかってきました。

今日の歯みがきが、未来の健康につながる
そんなことを考えると、歯ブラシを持つ手にも力が入りますよね。

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水は命の源! 知っておきたい体の水分のお話

「人の体は水分でできている」という言葉、あなたも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか? 私たちの体にとって、水はまさに生命を維持するための不可欠な要素です。今回は、体の水分がいかに重要か、そして健康を保つためにどうすれば良いかについてお話しします。

あなたの体、どれくらい水でできている?

実は、体内の水分量は年齢によって大きく異なります。生まれたばかりの新生児は、その体の約80%が水分で構成されています。成長するにつれてこの割合は変化し、成人では約60%に、そして高齢者になると約50%に減少します。年齢を重ねるごとに水分量が減っていくという事実は、特に高齢者の方が脱水症状になりやすい理由の一つでもあります。

体内の水が果たす役割

私たちの体にある水分は、ただ存在するだけではありません。様々な重要な役割を担っています。

  • 栄養素や酸素の運搬: 血液の主成分として、体中の細胞へ栄養素や酸素を届けます。
  • 老廃物の排出: 尿や汗として、体内の不要な老廃物を体の外へ運び出します。
  • 体温の調節: 汗をかくことで、体温が上がりすぎるのを防ぎます。
  • 関節の潤滑: 関節の動きをスムーズにする潤滑剤としての役割も果たします。

これらの働きが滞ると、私たちの体は正常に機能することができません。

水分不足は危険信号!

「喉が渇いたな」と感じたときには、すでに体は水分不足の状態にあります。軽度の脱水でも、めまい、立ちくらみ、倦怠感などの症状が現れることがあります。さらに水分が不足すると、熱中症や脳梗塞、心筋梗塞などの重篤な病気を引き起こすリスクが高まります。最悪の場合、命に関わる事態に陥る可能性もあります。

ミネラルも忘れずに!

体内の水分バランスを保つ上で、ミネラルも非常に重要な役割を担っています。汗とともに失われるナトリウムやカリウムといったミネラルは、細胞の浸透圧を調整し、神経や筋肉の機能を正常に保つために不可欠です。水分補給の際には、ミネラルも意識して摂ることが大切です。

1日に必要な水分量と効果的な補給方法

私たちは1日に約2.5リットルの水分を体外に排出しています。この失われた水分を補うために、同量の水分を摂取する必要があります。

  • 食事から: 毎日約1リットルの水分を食事から摂取しています。
  • 水分補給: 飲料水として約1.2リットルを摂取することが推奨されています。
  • 代謝水: 体内で栄養素が分解される際に約300ミリリットルの水分が生成されます。

この合計2.5リットルを目安に、意識的に水分を摂ることが大切です。一度に大量に飲むのではなく、コップ1杯程度をこまめに補給するのが効果的です。特に、起床時、入浴前後、就寝前、運動の前後などは意識して水分を摂るようにしましょう。

もちろん、食事も水分補給の一部です。野菜や果物には多くの水分が含まれており、バランスの取れた食事を心がけることも、体内の水分量を適切に保つ上で非常に重要です。

私たちの健康は、水によって支えられています。日頃から意識して水分を摂り、体の声に耳を傾けることが、元気な毎日を送るための第一歩です。日々の生活の中で、ぜひ「水分補給」を意識してみてください。

さらに自分が普段飲んでいる水のミネラル成分をしりたい場合、水のミネラル分析を行っておりますので、ぜひご利用ください。

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歯周病は口だけの問題じゃない!腸内環境を乱し、全身に悪影響を及ぼす可能性

「歯周病は歯ぐきの病気」と思っていませんか?

たしかに歯周病は口の中、特に歯ぐきに炎症を引き起こす病気ですが、実はそれだけでは済まない可能性があるのです。近年の研究では、歯周病が心血管疾患、動脈硬化、2型糖尿病、アルツハイマー病など、さまざまな全身疾患のリスクを高めることがわかってきました。 参考:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11909285/

さらに最新の研究では、歯周病が腸内環境にまで悪影響を及ぼし、結果として全身の健康に関わる可能性があることが明らかになってきました。

腸内細菌叢の乱れと歯周病の意外な関係

理化学研究所を中心とした国際共同研究グループが、歯周病患者と健康な人の唾液と便の細菌を詳しく調べたところ、驚きの事実が判明しました。

  • 歯周病患者では、唾液だけでなく、腸内細菌の種類や構成も乱れていることが分かりました。
  • さらに、歯周病を治療すると、唾液だけでなく腸内細菌叢も良い方向に変化することが示されたのです。

これまでは、歯周病菌が血液に入り込んだり、炎症物質が全身に運ばれたりすることが、歯周病と全身疾患の関連メカニズムとして考えられてきました。しかし、これらの説明だけでは十分ではありませんでした。今回の研究では、口腔内の細菌が腸内環境そのものに影響を与えるという新たな視点が提示されたのです。

なぜ口腔細菌が腸に影響するの?

研究では、健康な人では腸内で「短鎖脂肪酸」を作る良い細菌が多いのに対し、歯周病患者では別の種類の細菌が優勢になっていることが分かりました。また、唾液中の細菌の種類が多い人ほど、腸内の細菌の種類も多いという明確な関係も確認されました。

これらの結果は、口の中の細菌が、何らかの形で腸に到達し、その環境を変化させていることを強く示唆しています。

歯周病治療が全身の健康を守る鍵に?

今回の研究成果は、歯周病の治療や予防によって口腔内の健康を取り戻し、それを維持することが、全身の健康を守る上で非常に重要であることを明確に示しています。

歯周病は、心臓病や糖尿病、アルツハイマー病など、さまざまな全身疾患との関連が指摘されています。今回の発見は、これらの関連を説明する新たなメカニズムとして、今後のさらなる研究が期待されます。

参考:https://www.riken.jp/press/2025/20250522_1/index.html

毎日の歯みがきや定期的な歯科検診を通して、口腔内を清潔に保つことは、あなたの全身の健康を守る第一歩になるかもしれません。

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紫外線の季節、98%の日本人が「あの栄養素」不足!?赤ちゃんにも影響が?

夏も終わりに差し掛かっていますが、暑い日が続きます。本当に夏は終わるのでしょうか。もうずっと暑いままなのでは、と錯覚してしまいます。

連日35℃超えって日本正気ですか。

もう夏休み終わりますよ?夏休みって夏は暑くて学校に空調が十分足りないからはじまったんじゃないですか?こんなに暑いなら夏休み延長しないといけないですよ。

と、まだまだ紫外線が強いこの時期、日焼け止めや日傘で対策されている方も多いでしょう。しかし、その紫外線対策が行き過ぎて、大切な栄養素が不足しているかもしれません。

「太陽のビタミン」と呼ばれるビタミンDをご存じですか?

ビタミンDは、日光を浴びることで体内で生成され、意外にも多くの日本人が不足していることが明らかになっています。

ビタミンD、実は98%の人が不足?

2019年から2020年にかけて東京慈恵会医科大学が実施した調査で、都内の健康診断受診者5,518人の98%がビタミンD不足に該当していたことが判明しました。

この調査は、日本で初めて血清中ビタミンDの基準濃度を示したもので、30 ng/mL未満を「ビタミンD不足」と定義。特に若年層ほど不足率が高いことも判明しました。

※参考:98%の日本人がビタミンD不足、東京慈恵会医科大学が国内初の基準値公表 – 大学ジャーナルオンライン

赤ちゃんにもビタミンD不足が!日本小児科学会が新たな提言

近年、生活スタイルの変化によって、ビタミンDが不足する赤ちゃんも増加しています。これは、骨の発育に必要なカルシウム吸収の低下や、「くる病」などの発症リスクにつながる可能性があります。

2025年3月、日本小児科学会は以下のような対策を提言しています:

  • 妊娠期からのビタミンD充足
  • 母乳育児と両立できる適切な補完
  • 適度な外気浴・外遊び
  • 離乳食での魚・卵黄などビタミンD豊富な食品の摂取

これらの対策が難しい場合には、医師の指導のもと乳児用ビタミンDサプリメントの利用も考慮すべきとしています。

※参考:乳児期のビタミンD欠乏の予防に関する提言 |公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

ビタミンDの働きは骨だけじゃない!

「ビタミンD」と聞くと、骨の健康に良いというイメージが強いかもしれません。確かにビタミンDは、カルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける重要な役割を担っています。しかし、ビタミンDの働きはそれだけではありません!

  • 免疫機能の強化:免疫細胞の働きを調整し、感染症への抵抗力を高める重要な役割が近年注目されています。
  • 疾患との関係:たとえば国立がん研究センターの調査では、ビタミンDの食事摂取量と大腸がんの罹患リスクとの関連が示唆されるなど、様々な疾患との関連性も研究されています。
  • 有害金属の排出: 最近の海外研究では、ビタミンDが鉛・カドミウム・水銀・ヒ素などの重金属の蓄積を抑える可能性があり、特に妊娠期のビタミンD不足が早産リスクと関連していることも指摘されています。

※参考:Interplay Between Vitamin D Levels and Heavy Metals Exposure in Pregnancy and Childbirth: A Systematic Review

なぜ、こんなにもビタミンDが不足しているのか?

主な原因は以下の2つが考えられます。

  • 日光浴の減少: 紫外線対策意識の高まりや、室内で過ごす時間の増加により、日光を浴びる機会が減少しています。
  • 食生活の欧米化: 魚介類やきのこ類など、ビタミンDを豊富に含む和食を食べる機会が減っていることも一因です。

今日からできる!ビタミンD不足への対策

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、18歳以上の男女ともに1日のビタミンD摂取の目安量は9.0㎍に変更されました。

  • 食事から摂取: サケ、イワシなどの魚介類や、しいたけなどのきのこ類、卵黄を積極的に摂りましょう。ビタミンDは脂溶性なので、油と一緒に摂ると吸収率が高まります。
  • 適度な日光浴: ビタミンDは、皮膚が日光浴(紫外線)あたることにより生成されます。紫外線対策をしつつ、無理のない範囲で日光浴を心がけましょう。国立環境研究所のウェブサイトでは、お勧めの1日の日照照射時間も公開されています。

<ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報>

https://db.cger.nies.go.jp/dataset/uv_vitaminD/ja/mobile/yokohama_now1.html

https://db.cger.nies.go.jp/dataset/uv_vitaminD/ja/index.html

紫外線が気になる季節ですが、健康のためにはビタミンDも非常に大切な栄養素です。バランスの取れた食生活と適度な日光浴を心がけて、元気に夏を過ごしましょう!

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ピロリ菌って何? — 胃の“住人”がもたらすもの

「ピロリ菌」という名を聞いたことがありますか?正式名称は ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori。このらせん状の細菌は胃の粘膜にすみつき、慢性的な胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんと強く関連することがわかっています。世界保健機関(IARC)はピロリ菌を発がん性物質(Group 1)に分類しています。

なぜ「酸の海」で生きられるの?

普通、胃は強い酸性(pH1〜2)なので細菌は生きにくい場所です。ピロリ菌は次の仕組みでこの環境を生き延びます。

  • ウレアーゼを出して尿素を分解 → アンモニアで局所的に中和する。
  • 胃の粘液層の中に潜り込み、直接酸にさらされにくい場所にいる。

これらによって「自分の周りだけ環境をやわらげる」ことで生存します。

どんな病気と関係するの?

  • 慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍 の主要な原因の一つです。
  • 胃がんリスクの上昇:複数の疫学研究で、ピロリ陽性者は陰性者と比べて胃がんリスクが高いことが示されています。日本の多目的コホート研究でも、陽性者でおよそ5倍程度のリスク上昇が報告されています。

若い世代では減っている — でも高齢者にはまだ多い

上下水道の普及や衛生環境の改善により、近年は若い世代の感染率が大きく低下しています。一方で高齢者世代は依然として感染率が高いままです(世代差がはっきりしています)。日本でもこの変化は確認されています。PMC 厚生労働省

除菌(治療)は必要? — 効果と注意点

  • 早めの除菌は胃がんリスクを減らすというエビデンスが複数の研究で示されています。特に萎縮や腸上皮化生(=すでに粘膜が変化している状態)になる前に除菌すると効果が大きい可能性があります。Oxford Academic
  • ただし、すでに腸上皮化生や異形成がある段階では、除菌をしても胃がんリスクが十分に低下しないという報告もあり、効果は病変の進行度に依存します。除菌は「早めが肝心」と理解してください。PubMed
  • 日本ではピロリ菌除菌療法は公衆衛生上重要とされ、医療制度の整備や保険適用の拡充が進められています。厚生労働省 国立循環器病研究センター

ピロリ菌と胃がん以外の関係

  • 特発性血小板減少性紫斑病(ITP):一部の患者ではピロリ菌を除菌すると血小板数が改善することが報告されていますが、全例に当てはまるわけではなく研究の積み重ねが必要です。PMCPubMed
  • アレルギーや喘息との逆相関(幼少期に感染しているとアレルギーが少ない、という疫学的所見)を示す報告もあり、ピロリ菌が持つ“免疫系への影響”は一面的ではありません。これらは「ピロリ菌=完全な悪者」ではないという議論の根拠になっています。JAMA NetworkFrontiers

ピロリ菌が気になる方へ 〜まずは検査を〜

胃の不調が続いていたり、家族に胃がんの既往がある方は、一度ピロリ菌の検査を受けてみることをおすすめします。
早期に発見して除菌治療を行えば、将来の胃がんリスクを減らす大きな一歩になります。

こちらか検査キットをお申込みいただけます。

骨の話 vol.1 ~たまには基本に帰りましょう。

今回は骨のお話です。

丈夫な骨といえばカルシウム!

今回は骨のお話です。

丈夫な骨といえばカルシウム!

カルシウムは、人の体で最も多いミネラルで、体重の1~2%を占めます。体重60キロの人なら約1kgのカルシウムが存在しているのです。

体内のカルシウムの99%は骨や歯として存在しています。でも、カルシウムだけでは丈夫な骨は作れないのです。

骨は何でできているの?

骨の主成分はカルシムとリンです。カルシウムとリンが結合して「ハイドロキシアパタイト」という成分を作ります。

1990年代に「芸能人は歯が命」という歯磨きのコマーシャルが大ヒットしました。このコマーシャルにより、ハイドロキシアパタイトという成分名の認知度が急上昇しました。

覚えている方いますか?

骨は鉄筋コンクリート

グラフを見ても分かるように、骨は、その20%がコラーゲンでできてきます。

骨は硬いものというイメージが強いですが、実はしなやかさと硬さの両方が必要で、そのしなやかさを支えているのがコラーゲンです。

骨の仕組みは、よく鉄筋コンクリートにたとえられます。

コラーゲン(鉄筋):網目状の骨組みを作っています。このコラーゲン繊維が、骨にしなやかさ弾力性を与え、衝撃を吸収するクッションのような役割を果たします。コラーゲンがあることで、骨は単に硬いだけでなく、ある程度の衝撃を受けても折れにくい「粘り強さ」を持てるのです。

カルシウムなどのミネラル(コンクリート): このコラーゲンの網目(鉄筋)に、カルシウムやリンなどのミネラルが沈着してコンクリートのように固まり、骨に硬さ強度を与えます。

骨の役割

体を支える(支持): 骨は全身の土台となり、体を支えることで、私たちが重力に逆らって立ったり、座ったり、姿勢を保ったりすることを可能にしています。人間の体には206個の骨があり、組み合わさって骨格を形成し、体の形を維持しています。

臓器を保護する(保護): 脳は頭蓋骨に、心臓や肺などの重要な内臓は肋骨や胸骨に、脊髄は脊椎(背骨)に覆われる形で、外部からの衝撃から守られています。骨は私たちの体の重要な臓器を守る「鎧」のような役割を果たしています。

体を動かす(運動): 骨には筋肉が付着しており、骨と骨は関節でつながっています。脳からの指令で筋肉が収縮すると、骨が引っ張られて関節が動き、手足の曲げ伸ばしや歩行など、様々な運動が可能になります。骨は、筋肉と連動して体を動かすための「てこの原理」の支点となります

血液を作る(造血): 骨の中心部にある「骨髄(こつずい)」という組織で、赤血球、白血球、血小板といった血液の成分が作られています。骨髄は「血液生産工場」とも呼ばれています。

カルシウムを貯蔵する(貯蔵): 骨は体内のカルシウムの約99%を蓄えている「カルシウムの貯蔵庫」です。カルシウムは骨や歯の主成分であるだけでなく、神経伝達、筋肉の収縮、血液凝固など、生命活動に不可欠な様々な生理機能にも関わっています。血液中のカルシウム濃度が低下すると、骨からカルシウムが溶け出して血液中に供給され、逆に濃度が高まると骨に蓄えられます。このようにして、体内のカルシウム濃度は常に一定に保たれています。

骨の話は次回も続きます。

次回は骨にいい栄養素をご紹介します。

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消えない毒  半世紀以上続く六価クロム汚染の現実  ―『第4回 環境化学物質合同大会』から

先日、ブログでご報告した『第4回 環境化学物質合同大会』で報告されていた論文を分かりやすくご紹介します。

環境問題と聞くと、新しい技術で解決できる、あるいは時間が経てば自然と元に戻る、そんなイメージをお持ちかもしれません。しかし、中には何十年、半世紀以上もの時が流れても、いまだに私たちの生活を脅かし続けるやっかいな汚染が存在します。

今回は、東京都江戸川区や江東区で実際に起きている六価クロム汚染の事例が学会で報告されていました。

六価クロムって?

「クロム」は、必須ミネラルの一つ。必須ミネラルのクロムは膵臓(すいぞう)から分泌されるホルモンであるインスリンの働きをサポートします。

でも、有名なのは「六価クロム」という非常に毒性が強い形態のクロムではないでしょうか?

六価クロムは、必須ミネラルのクロム(三価クロム)と違い、強い毒性と発がん性を持ちます。酸化力が非常に強く、水に溶けやすく、人体に取り込まれると細胞を傷つけ、呼吸器系や皮膚に悪影響を及ぼします。

「六価クロム」:消し去れない過去の遺産

六価クロムは、工場などから排出される非常に毒性の高い金属の一種です。特に問題となるのは、その持続性と拡散性。一度土壌や地下水に染み込むと、無毒化するのが極めて難しいという性質を持っています。

1975年、日本化学工業株式会社が60年間にわたり六価クロム鉱滓(こうさい:産業廃棄物)を投棄し続けていたことが判明し、大きな社会問題となりました。

東京都江戸川区と江東区の区界周辺では、かつて工場が不法投棄した六価クロムが無害化処理をされたのちに埋められ、一部は公園として開放されています。

しかし、この公園周辺ではその後も六価クロムの流出が相次いで検出され、その都度無害化対策が施されています。半世紀以上が経過してもなお、六価クロムを封じ込めることができないのです。

終わらない戦い:雨が毒を運び、結晶が広がる

「封じ込め処理」が行われているにもかかわらず、なぜ六価クロムは消えないのでしょうか? そのやっかいなメカニズムを見ていきましょう。

  • 雨が降るたびに表面へ:2024年5月から11月にかけて江戸川区小松川地区で行われた調査では、道路脇の粉塵に含まれる六価クロム濃度が、降雨後に上昇することが明らかになりました。これは、地中に埋まった鉱滓から毒性の高い六価クロムが溶け出し、雨水とともに毛細管現象によって地表に滲み出してくるためです。つまり、雨が降るたびに、六価クロムが道路表面に「二次汚染源」を作り出しているのです。
  • 乾燥すると新たな汚染源に:路面に滲み出た汚染水は、乾燥すると白や薄黄色の結晶となり、道路脇に現れることがあります。この結晶も、地下の鉱滓由来の元素を含んでおり、風などによって舞い上がれば、新たな粉塵汚染源となります。

このように、

雨が降れば毒が滲み出し、晴れればそれが結晶となって拡散するというサイクルが、半世紀以上経った今も繰り返されているのです。封じ込めの努力にもかかわらず、自然の力(降雨)が、地中の毒を地上に再浮上させてしまうという、非常にやっかいな問題に直面しています。

見えない脅威:私たちの足元に潜む毒

道路は、私たちや車が日常的に利用する場所です。もし六価クロムを含む粉塵や結晶が路面に存在すると、以下のようなリスクが考えられます。

  • 粉塵として空気中に:車の走行や風によって、汚染物質が粉塵となり空気中に舞い上がります。
  • 健康被害の懸念:舞い上がった粉塵を吸い込んだり、手から口に入れたりすることで、健康被害が生じる可能性が懸念されています。

今回の調査では、六価クロムだけでなく、鉛(Pb)ヒ素(As)カルシウム(Ca)ストロンチウム(Sr)といった元素も、道路脇粉塵や結晶から検出され、これらも地下の鉱滓由来の汚染元素である可能性が指摘されています。

環境汚染の長期的な課題

江戸川区周辺の六価クロム汚染は、単なる一地域の問題にとどまりません。これは、過去の産業活動が残した負の遺産が、いかに長く、そしてやっかいな形で私たちの子孫に影響を及ぼし続けるかを示す象徴的な事例です。

半世紀以上経っても「無毒化」の最終的な解決策が見つからず、継続的な監視と対策が求められる。これが、深刻な環境汚染の現実です。

この問題から、私たちは何を学び、未来へどう繋いでいくべきでしょうか。私たちの足元に潜む見えない脅威として、今もなお私たちに問いかけ続けています。

ご紹介した論文:『東京都江戸川区小松川地区における道路脇粉塵の微量元素濃度と降雨の関連』東京農工大学 大学院 / 公益財団法人 海洋生物環境研究所)

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「とりあえずこの4つ!」ミネラル不足が気になるあなたに知ってほしい話

健康を気にして食事に気をつけているけれど、「ミネラル」って何をどれくらい摂ればいいのか、正直よくわからない……。そんな方、多いのではないでしょうか。

私たちの体にとってミネラルはとても大切な栄養素。でも、ビタミンやたんぱく質に比べて注目されることが少なく、「気づかないうちに不足していた」ということが起こりがちなんです。

そこで今回は、「とりあえずこの4つを意識しておけばOK!」という代表的なミネラル、カルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛について、お話します。

とりあえず、この4つ!

現代の日本人は、食生活の変化や加工食品の普及などにより、必要なミネラルが十分に摂れていない「新型栄養失調」の状態にあると言われています。特に注意したいのが、厚生労働省の調査などでも指摘されている、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛の4つのミネラルです。

骨と心の安定剤「カルシウム」

「カルシウム=骨」というイメージをお持ちの方は多いでしょう。その通り、カルシウムは私たちの体の約99%が骨や歯に存在し、それらを丈夫に保つために欠かせないミネラルです。しかし、カルシウムの働きはそれだけではありません。

  • 筋肉の収縮や神経伝達をスムーズにする
  • 心臓の正常な働きを助ける
  • 精神的な安定にも関わる

など、実は全身のさまざまな機能に関わっています。不足すると、骨がもろくなるだけでなく、イライラしやすくなったり、不眠につながったりすることも。

日本人は慢性的にカルシウム不足。厚生労働省の調査でも、特に若い女性や高齢者の摂取量が目標に届いていないという結果が出ています。

効果的な摂取方法

  • 牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品
  • 小魚(しらす、煮干し、桜エビなど)
  • 緑黄色野菜(小松菜、チンゲン菜、ブロッコリーなど)
  • 豆腐や納豆などの大豆製品
  • ゴマやアーモンドなどのナッツ類

ビタミンDと一緒に摂ると吸収率がアップするので、きのこ類や魚介類も意識して食べましょう。

縁の下の力持ち「マグネシウム」

マグネシウムは体内の300以上の酵素の働きを助ける、大事なミネラル。中でも注目したいのが、ストレスへの耐性や血圧の調整に関わっているという点。

ところが、精製された食品(白米や白いパンなど)中心の食生活では不足しやすくなります。外食やインスタント食品が多い人ほど、要注意です。

また、カルシウムとのバランスが重要で、カルシウム:マグネシウム=2:1の比率が理想的とされています。

  • エネルギーを作り出す
  • 筋肉の収縮をサポートし、こむら返りなどを防ぐ
  • 神経の興奮を抑え、精神を安定させる
  • 血圧や血糖値の調整にも関わる

など、あらゆる生命活動に深く関わっています。ストレスが多い方や、お酒をよく飲む方は不足しがちと言われています。

効果的な摂取方法

  • 海藻類(わかめ、昆布、ひじきなど)
  • ナッツ類(アーモンド、カシューナッツなど)
  • 玄米や全粒粉パンなどの未精製穀物
  • 豆類(大豆、小豆、そら豆など)
  • 緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリーなど) 魚介類(あさり、いわし、かつおなど)

現代の精製された食品では失われがちです。また、調理法によって失われやすい性質があるので、意識して摂ることが大切です。

元気の源!「鉄」

あまりミネラルのことを知らない方でも、貧血と聞くと「鉄不足」を思い浮かべる方もいるように、鉄はミネラルの中でも有名なもののひとつ。

  • 全身に酸素を運ぶヘモグロビンの材料になる
  • 筋肉中に酸素を貯蔵するミオグロビンにも関わる
  • エネルギーを作り出す過程に必要
  • 免疫機能の維持にも関与

不足すると「疲れやすい」「頭が重い」「顔色が悪い」などの症状が出てきます。

日本では、特に月経のある女性の多くが鉄不足。また、成長期の子どもやスポーツをよくする人にも貧血が多く見られます。

効果的な摂取方法

  • 赤身肉(牛肉、豚肉、鶏肉のレバーなど)
  • 魚介類(まぐろ、かつお、あさり、しじみなど)
  • 卵黄
  • 緑黄色野菜(ほうれん草、小松菜など)
  • 海藻類(ひじき、のりなど)
  • 大豆製品(納豆、豆腐など)

鉄には動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」があり、ヘム鉄の方が吸収率が高いのが特徴です。吸収率を上げるには、ビタミンCと一緒に摂るのがポイント。たとえば「小松菜と柑橘のサラダ」「レバーとピーマン炒め」など、ちょっとした工夫が効きます。

免疫力と美肌の味方「亜鉛」

最後は亜鉛。4つの中では知名度はあまりないかもしれません。でも、免疫力の維持、皮膚や髪の健康、味覚を正常に保つなど、多彩な働きがあります。

実は私たちの体内で細胞の成長や新陳代謝に深く関わる、非常に重要なミネラルです。

  • 約300種類もの酵素の構成要素となる
  • 細胞分裂を助け、皮膚や髪、爪の健康を保つ
  • 味覚や嗅覚を正常に保つ
  • 免疫機能を高める
  • 生殖機能にも深く関わる

など、目に見えないところで体の機能を正常に保つために大活躍しています。

不足すると、「風邪をひきやすい」「肌荒れが治らない」「味がしない」といった不調が出ることも。

特に、加工食品やファストフード中心の食生活では不足しやすく、育ち盛りの子どもや高齢者、アルコールをよく飲む人も要注意です。

また、男性の場合は精子の質にも影響するため、妊活中の男性にも重要です。

効果的な摂取方法

  • 牡蠣(最も豊富な亜鉛源)
  • 肉類(牛肉、豚肉、鶏肉など)
  • 魚介類(うなぎ、いわし、たこなど)
  • 乳製品(チーズ、牛乳など)
  • ナッツ類(アーモンド、カシューナッツなど) 大豆製品

亜鉛は動物性食品からの吸収率が高く、植物性食品からは吸収されにくい特徴があります。また、アルコールの代謝や激しい運動により消耗しやすいため、お酒をよく飲む人や運動習慣のある人は特に意識して摂取することが大切です。

ただし、牡蠣は、亜鉛を豊富に含んでいますが、有害金属も多いので、日常的に食べるにはおススメしません。

「4つのミネラル」を意識して、賢くミネラルをチャージしよう!

ご紹介した4つのミネラルは、それぞれが体の異なる機能に深く関わっていますが、実は互いに協力し合いながら、私たちの健康を支えています。

例えば、カルシウムの吸収にはマグネシウムが必要ですし、鉄の吸収にはビタミンCが、亜鉛の働きにはタンパク質が重要になります。つまり、特定のミネラルだけを意識するのではなく、バランスの取れた食事を心がけることが、何よりも大切なのです。

現代の食生活では、手軽な加工食品や外食が増え、野菜や海藻類、魚介類などを十分に摂る機会が減っているのが現状です。まずは、以下の点を意識してみてください。

  • 彩り豊かな食事を心がける
  • 旬の食材を取り入れる
  • 加工食品を減らし、自炊の機会を増やす
  • 和食はミネラル豊富な食材が多いため、積極的に取り入れる

もちろん、毎日完璧な食事をすることは難しいかもしれません。そんな時は、サプリメントの利用も選択肢の一つですが、まずは普段の食事で不足しがちなミネラルを意識して摂ることから始めてみましょう。

私たちの体は、私たちが食べたもので作られています。今回ご紹介したカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛の4つのミネラルを意識して食生活を見直すことで、きっとあなたの体はもっと元気に、もっと快適になるはずです。

今日からできる小さな一歩が、未来の健康を大きく変えるきっかけになるでしょう。ぜひ、意識してミネラル豊富な食材を食卓に取り入れてみてくださいね!

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熱中症は「隠れミネラル不足」に要注意!

今年の夏も猛暑が予想されていますね。

消防庁の発表では、6月30日から7月6日の1週間における熱中症による救急搬送人員数が10048人、これは昨年の同時期より多く、すでに厳しい暑さの影響が出始めています。

水分補給だけで本当に大丈夫?

「ちゃんと水分はとっているから大丈夫!」という声をよく聞きますが、実は水分補給だけでは不十分な場合も。熱中症の陰に潜む「隠れミネラル不足」に注意が必要です。

熱中症って、どうして起こるの?

私たちの体は、汗をかくことで体温を調節しています。しかし、気温や湿度が高い環境で大量に汗をかくと、体内の水分だけでなく、ナトリウムやカリウムといった重要なミネラルも一緒に失われてしまいます。

これらのミネラルが不足すると、体内の水分バランスが崩れ、めまい、頭痛、吐き気、筋肉のけいれんなど、熱中症の症状が現れるのです。

ナトリウムだけじゃない!熱中症予防に欠かせないミネラルたち

「熱中症=塩分補給」と言われがちですが、実は ナトリウム以外のミネラルもとても重要です。

ナトリウム:水分バランスの司令塔

体液の浸透圧を保ち、水分の移動をコントロール。
不足すると脱水が進み、熱中症のリスクが高まります。

カリウム:筋肉や神経のサポーター

細胞内に多く存在し、ナトリウムと連携して浸透圧を調節。
不足すると、だるさや筋肉のけいれんが起こりやすくなります。

マグネシウム:300以上の酵素反応を支える縁の下の力持ち

神経伝達、筋肉の収縮、体温調節など多くの役割を担っています。
不足するとけいれん・不眠・イライラなど、熱中症に似た症状が出ることも。

カルシウム:骨や歯だけじゃない!

神経や筋肉の働きにも欠かせません。
汗と一緒に流れ出てしまうため、こまめな補給が必要です。

子どもの熱中症の8割は、スポーツ活動中に発生!

日本の小児の熱中症患者に関する最新の研究では、熱中症で運ばれてくる子どもの多くは中学生や高校生。特に8月が47%、7月が42%と、夏の盛りに集中して発生しています。

時間帯では午後(12〜18時)が半数以上(52%)を占めていました。

注目すべきは発生状況で、80%がスポーツ活動中に、そしてそのほとんど(70%)が屋外で発生していました。これは、消防庁が発表する熱中症による救急搬送状況で「住居」が最多である成人を含めた全体の傾向とは大きく異なり、子どもの熱中症予防には特に屋外でのスポーツ活動時の対策が重要であることを示唆しています。

(参考文献:Characteristics of pediatric patients with heat-related illness transferred to emergency departments: descriptive analysis from Japan

今日からできる!ミネラル補給のポイント

では、具体的にどのようにミネラルを補給すれば良いのでしょうか?

1. 水分補給は「何を飲むか」が重要!

ただの水だけでなく、ミネラルを含む飲料を選びましょう。

  • スポーツドリンク: 水分とミネラルを効率よく補給。ただし糖分が多いので飲み過ぎ注意。
  • 経口補水液: 電解質濃度が高く、脱水時に非常に効果的。
  • 麦茶: カリウムなどを含み、ノンカフェインで毎日の水分補給に◎
  • ミネラルウォーター: 硬水にはミネラルが多め。慣れない方は少しずつ取り入れて。

2. 食事からもバランス良く!

毎日の食事から、4つのミネラルを意識して摂取しましょう。

  • ナトリウム: 塩分を含む食品(漬物、梅干し、味噌汁など)から適度に摂取。ただし、過剰摂取は高血圧のリスクを高めるため注意。
  • カリウム: 野菜(ほうれん草、きゅうり)、果物(バナナ、スイカ)、海藻類に豊富。
  • マグネシウム: 豆類(納豆、豆腐)、ナッツ類(アーモンド)、海藻類(わかめ)、全粒穀物、緑黄色野菜に豊富。
  • カルシウム: 牛乳、乳製品、小魚、緑黄色野菜に豊富。

今年の夏も、熱中症に負けない体を作るために、水分補給だけでなく「ミネラル」の補給を意識してみてください。

特に、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムといったミネラルをバランス良く摂ることが、熱中症予防の鍵となります。

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