パントテン酸


    パントテン酸は、かつてビタミンB5と呼ばれていたビタミンB群に含まれる物質で、化学名は、D(+)-N-(2,4-ジヒドロキシ-3,3-ジメチルブチリル)-β-アラニンといいます。補酵素型のコエンザイムA(CoA)の構成成分として、糖代謝や脂質代謝の反応に関わっています。食品中に広く存在するので、通常の食生活で不足になることはありません。食品中では補酵素型のコエンザイムA(CoA)として存在し、消化管内でパンテテインあるいはパントテン酸まで分解されて体内に吸収されます。

    摂取・代謝・排泄


    パントテン酸はたいていの食品に含まれています。卵、牛乳、レバー、納豆、きな粉、さばやいわしに多く含まれているので、パントテン酸の欠乏や過剰摂取については報告されておりません。
    厚生労働省は、健康な個人または集団を対象に、国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものとして「日本人の食事摂取基準(2010年度版)」を策定しました。

    食事摂取基準(単位:mg/日)


    男性

    年齢目安量
    0~5(月)4
    6~11(月)5
    1~2(歳)3
    3~5(歳)4
    6~7(歳)5
    8~9(歳)6
    10~11(歳)7
    12~14(歳)7
    15~17(歳)7
    18~29(歳)5
    30~49(歳)5
    50~69(歳)6
    70以上(歳)6
    妊婦(付加量)
    授乳婦(付加量)

    女性

    年齢目安量
    0~5(月)4
    6~11(月)5
    1~2(歳)3
    3~5(歳)4
    6~7(歳)5
    8~9(歳)5
    10~11(歳)6
    12~14(歳)6
    15~17(歳)5
    18~29(歳)5
    30~49(歳)5
    50~69(歳)5
    70以上(歳)5
    妊婦(付加量)+1
    授乳婦(付加量)+1

    パントテン酸の食事摂取基準の数値はパントテン酸相当量で策定されています。パントテン酸欠乏症を実験的に再現できないので推定平均必要量が設定できないため、平成17年及び18年国民健康・栄養調査の中央値を用いて目安量が算定されています。また、ヒトにパントテン酸のみを過剰に与えた報告などが無く、耐容上限量を算定するだけのデータが十分ではないため、策定されていません。


    参考資料

    • 日本人の食事摂取基準(2010年度版)  厚生労働省
    • 2010年日本食品標準成分表  厚生労働省
    • ビタミンの事典  日本ビタミン学会










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