- NE=ナイアシン当量=ナイアシン + 1/60トリプトファン、身体活動レベルⅡの推定エネルギー必要量を用いて算定されています。
- 耐容上限量はニコチンアミドのmg量、( )内はニコチン酸のmg量、基準体重を用いて算定されています。
- 単位はmg/日。
- 日本人の食事摂取基準(2010年度版) 厚生労働省
- 2010年日本食品標準成分表 厚生労働省
- ビタミンの事典 日本ビタミン学会
ナイアシン
ナイアシンは、ニコチン酸、ニコチン酸アミドなどの化合物の総称をいいます。ビタミンB3とも呼ばれ、水溶性ビタミンに分類される生理活性物質で、糖質、脂質、タンパク質の代謝に不可欠といわれています。
生体内では、ニコチン酸を部分構造に含んでいる「ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)」や「ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)」が酸化還元酵素の水素受容体で補酵素として作用する重要な働きを持っています。
摂取・代謝・排泄
ナイアシンは、生体内でアミノ酸のひとつである「トリプトファン」から生合成され、ヒトの場合はさらに腸内細菌(常在菌)も「トリプトファン」からのナイアシン合成を行っているため、通常の食生活を送るうえでほとんど欠乏しないといわれています。
厚生労働省は、健康な個人または集団を対象に、国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものとして「日本人の食事摂取基準(2010年度版)」を策定しました。
食事摂取基準(単位:mgNE/日1))
男性
年齢 | 推定平均 必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容 上限量2) |
0~5(月) | - | - | 23) | - |
6~11(月) | - | - | 3 | - |
1~2(歳) | 5 | 6 | - | 60(15) |
3~5(歳) | 6 | 7 | - | 80(20) |
6~7(歳) | 7 | 9 | - | 100(30) |
8~9(歳) | 9 | 10 | - | 150(35) |
10~11(歳) | 11 | 13 | - | 200(45) |
12~14(歳) | 12 | 14 | - | 250(60) |
15~17(歳) | 13 | 16 | - | 300(70) |
18~29(歳) | 13 | 15 | - | 300(80) |
30~49(歳) | 13 | 15 | - | 350(85) |
50~69(歳) | 12 | 14 | - | 350(80) |
70以上(歳) | 11 | 13 | - | 300(75) |
妊婦(付加量) | ||||
授乳婦(付加量) |
女性
年齢 | 推定平均 必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容 上限量2) |
0~5(月) | - | - | 23) | - |
6~11(月) | - | - | 3 | - |
1~2(歳) | 4 | 5 | - | 60(15) |
3~5(歳) | 6 | 7 | - | 80(20) |
6~7(歳) | 7 | 8 | - | 100(30) |
8~9(歳) | 8 | 10 | - | 150(35) |
10~11(歳) | 10 | 12 | - | 150(45) |
12~14(歳) | 11 | 13 | - | 250(60) |
15~17(歳) | 11 | 13 | - | 250(65) |
18~29(歳) | 9 | 11 | - | 250(65) |
30~49(歳) | 10 | 12 | - | 250(65) |
50~69(歳) | 9 | 11 | - | 250(65) |
70以上(歳) | 8 | 10 | - | 250(60) |
妊婦(付加量) | +0 | +0 | - | - |
授乳婦(付加量) | +3 | +3 | - | - |
ナイアシンはエネルギー代謝に関与するビタミンであることから、推定平均必要量はエネルギー当たりの値となっています。人を用いた実験より、摂取ナイアシン当量とN1-メチルニコチンアミドの尿中排泄量に高い相関があると報告され、その報告の解析によりN1-メチルニコチンアミド尿中排泄量が1.0mg/日となるナイアシン摂取量は4.8mgNE/1000kcalであることから、この値を推定平均必要量とし、推奨量は×1.2の5.8mgNE/1000kcalとされています。ナイアシンの強化食品やサプリメントとしては、ニコチン酸、あるいはニコチンアミドが通常使用されており、これら強化食品やサプリメント由来のニコチン酸あるいはニコチンアミドの値を耐容上限量として策定しています。