- 妊娠を計画している女性、または、妊娠の可能性がある女性は、神経管閉鎖障害のリスクの低減のために、付加的に400µg/日のプテロイルモノグルタミン酸の摂取が望まれます。
- 耐容上限値は、プテロイルモノグルタミン酸の量として算定されています。
- 日本人の食事摂取基準(2010年度版) 厚生労働省
- 2010年日本食品標準成分表 厚生労働省
- ビタミンの事典 日本ビタミン学会
葉酸
葉酸は、ビタミンM、ビタミンB9またはプテロイルグルタミン酸とも呼ばれ、水溶性ビタミンに分類される生理活性物質です。狭義にはプテロイルモノグルタミン酸を指しますが、広義には補酵素型などポリグルタミン酸型も含む総称で呼ばれています。葉酸は、炭素原子を含むメチル基、メチレン基などを受取り、それをアミノ酸や核酸合成の中間体へ渡す役割を担うなど、アミノ酸及び核酸の代謝に用いられています。
摂取・代謝・排泄
食品中の葉酸の大半は補酵素型の一炭素単位置換のポリグルタミン酸型として存在し、酵素タンパク質と結合した状態で存在し、食品の調理、加工の過程もしくは摂取後の胃酸環境下で遊離します。遊離した補酵素型の葉酸のほとんどは、腸内の酵素によって消化され、モノグルタミン酸型となった後、小腸の上皮細胞から吸収されると考えられています。
葉酸を多く含む食材としては、緑黄色野菜、いも類、豆類、らっかせい、などがあります。葉酸は、調理や長期間保存による酸化によって壊れるため、新鮮な生野菜の摂取を心がけましょう。
厚生労働省は、健康な個人または集団を対象に、国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものとして「日本人の食事摂取基準(2010年度版)」を策定しました。また、厚生労働省は2000年に、「妊娠を計画している女性に対し、1日当たり0.4mg以上の葉酸摂取を推奨する。」と発表しています。
食事摂取基準(単位:µg/日1))
男性
年齢 | 推定平均 必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容 上限量2) |
0~5(月) | - | - | 40 | - |
6~11(月) | - | - | 65 | - |
1~2(歳) | 80 | 100 | - | 300 |
3~5(歳) | 90 | 110 | - | 400 |
6~7(歳) | 110 | 140 | - | 600 |
8~9(歳) | 130 | 160 | - | 700 |
10~11(歳) | 160 | 190 | - | 900 |
12~14(歳) | 200 | 240 | - | 1,200 |
15~17(歳) | 200 | 240 | - | 1,300 |
18~29(歳) | 200 | 240 | - | 1,300 |
30~49(歳) | 200 | 240 | - | 1,400 |
50~69(歳) | 200 | 240 | - | 1,400 |
70以上(歳) | 200 | 240 | - | 1,300 |
妊婦(付加量) | ||||
授乳婦(付加量) |
女性
年齢 | 推定平均 必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容 上限量2) |
0~5(月) | - | - | 40 | - |
6~11(月) | - | - | 65 | - |
1~2(歳) | 80 | 100 | - | 300 |
3~5(歳) | 90 | 110 | - | 400 |
6~7(歳) | 110 | 140 | - | 600 |
8~9(歳) | 130 | 160 | - | 700 |
10~11(歳) | 160 | 190 | - | 900 |
12~14(歳) | 200 | 240 | - | 1,200 |
15~17(歳) | 200 | 240 | - | 1,300 |
18~29(歳) | 200 | 240 | - | 1,300 |
30~49(歳) | 200 | 240 | - | 1,400 |
50~69(歳) | 200 | 240 | - | 1,400 |
70以上(歳) | 200 | 240 | - | 1,300 |
妊婦(付加量) | +200 | +240 | - | - |
授乳婦(付加量) | +80 | +100 | - | - |
葉酸はプテロイルモノグルタミン酸とその他の数種の化合物の総称であるため、食事摂取基準は、プテロイルモノグルタミン酸相当量として算定されています。体内の葉酸栄養状態を表す生体指標として、赤血球中の葉酸量と血漿総ホモシステイン値を参考として推定平均必要量が策定され、推奨量は推定平均必要量×1.2として策定されています。アメリカにおいて、プテロイルモノグルタミン酸強化食品を摂取している人の血清葉酸値が高いことに起因する有害作用が報告されていることから耐容上限量が策定されています。