- 日本人の食事摂取基準(2010年度版) 厚生労働省
- 2010年日本食品標準成分表 厚生労働省
- ビタミンの事典 日本ビタミン学会
ビタミンK
ビタミンKは、脂溶性ビタミンの一種で、天然型のフィロキノン(ビタミンK1)、メナキノン(ビタミンK2)と人工合成型のメナジオール二リン酸ナトリウム(ビタミンK4)に分類されます。ビタミンKのKはドイツ語の凝固を意味するKoagulationsに由来しているといわれ、生体の血液凝固因子に関与しています。
ビタミンKの主な生理作用は、プロトロンビンやその他の血液凝固因子を活性化し、血液の凝固を促進することにあるといわれています。また、骨に存在するタンパク質のオステオカルシンを活性化し、骨形成の調節や、ビタミンK依存性タンパク質の活性化を介して動脈の石灰化を防止するなど、重要な働きを持っています。
摂取・代謝・排泄
ビタミンKの中で、ビタミンK1は、主に植物に含まれ、葉菜類、植物油、豆類に多く含まれています。また、ビタミンK2は、微生物が作り出すビタミンであり、生体内の腸内細菌によって作り出されているといわれています。食品から摂取されたビタミンKは、胆汁酸や膵液と混合され小腸から吸収されると考えられています。通常の食生活で充分に摂取され、腸内細菌叢による供給があるので、欠乏になることはほとんど無いといわれています。
ビタミンKは、生後1ヶ月前後の乳児にみられるビタミンK依存性凝固因子の欠乏による出血症である「乳児ビタミンK欠乏性出血症」の予防の目的でシロップが投与されています。
厚生労働省は、健康な個人または集団を対象に、国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものとして「日本人の食事摂取基準(2010年度版)」を策定しました。
食事摂取基準(単位:µg/日)
男性
年齢 | 目安量 |
0~5(月) | 4 |
6~11(月) | 7 |
1~2(歳) | 25 |
3~5(歳) | 30 |
6~7(歳) | 40 |
8~9(歳) | 45 |
10~11(歳) | 55 |
12~14(歳) | 70 |
15~17(歳) | 80 |
18~29(歳) | 75 |
30~49(歳) | 75 |
50~69(歳) | 75 |
70以上(歳) | 75 |
妊婦(付加量) | |
授乳婦(付加量) |
女性
年齢 | 目安量 |
0~5(月) | 4 |
6~11(月) | 7 |
1~2(歳) | 25 |
3~5(歳) | 30 |
6~7(歳) | 40 |
8~9(歳) | 45 |
10~11(歳) | 55 |
12~14(歳) | 65 |
15~17(歳) | 60 |
18~29(歳) | 60 |
30~49(歳) | 65 |
50~69(歳) | 65 |
70以上(歳) | 65 |
妊婦(付加量) | +0 |
授乳婦(付加量) | +0 |
潜在的なビタミンK欠乏状態を回避できる摂取量として、体重72kgの人では82µg/日のビタミンKが必要であるとのアメリカの報告をもとに、成人の目安量が設定されました。ビタミンKの類縁化合物であるメナジオン(ビタミンK3)は、大量摂取すると毒性が認められる場合がありますが、フィロキノン(ビタミンK1)とメナキノン(ビタミンK2)については大量に摂取しても毒性が認められないことから、ビタミンKの耐容上限量は設定されていません。