- 化学物質ファクトシート 「321.バナジウム化合物」 環境省
- 国際化学物質簡潔評価文書 No.29「五酸化バナジウム及びその他の無機バナジウム化合物」 国立医薬品食品衛生研究所
- ミネラルの事典 朝倉書店
バナジウム
バナジウムは地殻の表層部には重量比で0.015%程度存在し、23番目に多い元素です。バナジウムは銀白色の金属で、バナジウム合金、バナジウム鋼などの合金鉄の原料に使われています。金属バナジウムやバナジウム合金は電子材料、被覆材、耐熱材、超合金、航空機の部材などに使用されています。
存在・排泄
バナジウムは、必須性は認められてはいませんが、生体内で糖質や脂質代謝などに対して有用な作用があると考えられています。バナジウムは、海藻類、乳製品、野菜に多く含まれていて、飲み水からも摂取されます。
ヒトの食品からのバナジウム摂取量は、10~60µgで、人体中には約200µgのバナジウムが存在すると見積もられています。吸収されたバナジウムは、骨、血液、肝臓、腎臓、脾臓などに分布するといわれています。
多数の研究から、バナジウムはインスリン作用に影響を与え、さらにインスリン類似作用を持ち、あるいはグルコース-6-リン酸ホスファターゼの活性化に影響をするなどから、グルコース代謝に関連することが示されています。
バナジウムは脂肪細胞でグルコースの酸化や輸送を、また、肝臓などでグリコーゲンの合成を促進していると考えられています。一方、バナジウムによるコレステロール合成の阻害がヒトや動物の研究で観察され、血漿中のリン脂質やコレステロールレベルが減少するといわれています。欠乏などによる健康への影響などは報告されておりませんが、過剰摂取についてはその毒性が報告されています。
富士山の伏流水にバナジウムが多く含まれているといわれています。
経口摂取されたバナジウムは、およそ2%が消化管から吸収され、腎臓から尿中に排泄され、残りは糞便中に排泄されるといわれています。
バナジウムの有用性は未だ不明確ではありますが、健康のため摂取バランスを整えましょう!
法規制など
規制法律名 | 規制項目 | 規制値 |
労働安全衛生法 | 作業環境許容濃度(五酸化バナジウム) | 0.03mg/m³(バナジウムとして) |