- 化学物質ファクトシート 「100.コバルト及びその化合物」 環境省
- 国際化学物質簡潔評価文書 No.69「コバルトおよび無機コバルト化合物」 国立医薬品食品衛生研究所
- ミネラルの事典 朝倉書店
コバルト
コバルトは、強い磁性をもつ灰白色の金属で、主に銅やニッケルといった他の金属の副産物として生産されます。コバルトの化合物には炭酸コバルト、酸化コバルト、塩化コバルトなどがあり、リチウムイオン二次電池に用いられています。その他、合金材料として幅広い用途で使われており、ニッケル、モリブデン、クロム、鉄などとの合金は、超硬合金工具として切削工具、耐磨工具に利用されたり、特殊鋼部品として工作機器部品や航空機エンジン部品などに利用されています。
炭酸コバルトは、永久磁石やVTRテープなどの磁性材料に、酸化コバルトは、磁器の染付に用いられている藍色の顔料(呉須)の主な成分であるといわれています。コバルトは、必須栄養素であるビタミンB12の構成成分で細胞の分化と増殖、中枢神経の保持などに関与しています。
存在・排泄
コバルトは、ビタミンB12の必須構成成分といわれています。そのビタミンB12は、哺乳動物では唯一反芻動物の胃の中でそこに存在する微生物の働きによって合成されると考えられています。ヒトにはその合成システムが無いので摂取食物中からの吸収により補われています。なお、ヒトの生体内でコバルトまたはコバルトイオンが単独で負っている機能などについての報告はないといわれています。
成人が食事から摂取するコバルト量は1日5~45μgと考えられていますが、酸化コバルトの投与研究などではコバルトの吸収が低く、血清や尿ともに有意なコバルト濃度の上昇を示さなかったと報告されています。
日常生活においてコバルトの欠乏は報告がありませんが、特殊な環境下でコバルトが過剰に人体内に進入した場合の毒性についての報告があり、例えば、陶器産業で絵付け作業に従事している作業者が染付に用いているコバルトブルーによるコバルト曝露呼吸器系の障害を受けている事例があるといわれています。
コバルトの経口的な摂取に関連して、1日の所要量及び許容上限量について報告はありませんが、コバルトは食品からの摂取が大半で、その推定摂取量は1日あたり5~40µgであると報告されています。
コバルトと密接に関連しているビタミンB12については、これを多く含む食品、「あさり」、「しじみ」、「牡蠣」、「蟹」、「さんま」などの魚介類に配慮した食生活を送る必要があるといわれています。
経口摂取されたコバルトは、消化管で吸収され、必要量がビタミンB12として主に肝臓に貯蔵されます。それ以外は腎臓から尿中に排泄されるといわれています。
健康のためビタミンB12(コバルト)の摂取バランスを整えましょう!
法規制など
規制法律名 | 規制項目 | 規制値 |
労働安全衛生法 | 名称などを通知すべき有害物及び発火性の物 | - |
日本産業衛生学会勧告 | 作業環境許容濃度 | 0.05mg/m³ |