臭素


    臭素はハロゲン元素の1つです。通常は単体の臭素として取り出されていて非金属元素の中で室温で液体で存在するのは臭素のみといわれています。臭素は海水1L中に約65mg含まれており、それを塩素ガスで酸化置換して単体の臭素を製造しています。写真工業では、臭化銀(AgBr)が感光剤として用いられ、アイドルや映画スターの写真が、日本では「ブロマイド」と呼ばれていたのは臭化物(ブロマイド)に由来しているといわれています。臭素は、試薬、農薬(土壌及び植物の燻蒸剤、プラスチック、化学合成繊維の難燃剤及び工業製品に使用され、臭素化合物の臭化カリウムは、不安緊張状態の鎮静や小児の難治性てんかんの治療薬とし使用されています。

    存在・排泄


    人体中の臭素は約200mg存在すると見積もられています。健常人の血清中の臭素濃度は、およそ5µg/mlといわれており食事や民間薬、強壮剤や鎮痛薬などを摂取することにより変動すると考えられています。
    動物や植物における臭素の生理機能は不明で、一部の動物の研究で臭素が必須元素である塩素の代用となるといわれています。
    臭素は植物に比較的多く含まれていますが、通常の生活で過剰に摂取されることは無いと考えられています。
    臭素イオンを動物に長期間投与すると慢性中毒を生じ、皮膚や粘膜に発疹などを引き起すことが知られています。臭素イオン投与を中止して、塩化ナトリウムを与えると臭素の排泄が促進されたともいわれています。
    臭素化合物のポリ臭化ジフェニルエーテルは、同じ臭素系難燃剤であるポリ臭化ビフェニルよりも毒性が低く電気製品や建材、繊維などに難燃剤として添加されていましたが、オゾン層の破壊や生物濃縮の可能性が示唆され、現在では使用が制限されています。
    経口的に摂取された臭素は、消化管で速やかに吸収され、短時間各組織に滞留した後、尿中に排泄されるといわれています。
    パーマ剤などに臭素酸塩として臭素が使用されている場合があります。


    臭素の有用性は未だ不明確ではありますが、健康のため摂取バランスを整えましょう!

    法規制など


    規制法律名規制項目規制値
    毒物及び劇物取締法医薬用外劇物(臭素及びブロムエチル、ブロムメチルなど)
    労働安全衛生法名称などを通知すべき有害物(臭素)

    参考資料

    • ミネラルの事典  朝倉書店









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