その他の金属

私たちの身の回りでは様々な金属が使用されています。その中から特に関心に高い金属を当研究所が独自に選択し、研究対象としています。

ニオブ

ニオブは粘性や耐熱性を向上するための添加剤として鉄鋼関係での利用が大部分を占めています。ニオブを混ぜた鋼材は、耐熱性に優れ、衝撃にも強いので、スペースシャトルや石油のパイプラインなどに使用されています。そのほかに、超電導材料や電子工業部品として利用されています。有害性については知見がないため不明な点が多くよくわかっていませんが、腎臓に影響を与える可能性が指摘されています。

パラジウム

パラジウムは耐食性と柔らかさを兼ね備えた金属で、自動車排ガス浄化用の触媒や電気・電子工業用の部品として利用されています。パラジウムは比較的体内に蓄積しにくく毒性も低いとされているため、歯の治療用合金（金銀パラジウム合金、略称：金パラ）やアクセサリーの材料としても利用されています。しかし、ピアスや指輪などで接触性の皮膚炎やアレルギーになることもあります。

ネオジム

ネオジムは永久磁石の原料として利用され、ハードディスクやBlu-ray / DVD プレイヤー、スマートフォンなどの高性能モーターとして使用されています。そのほかに、医療用レーザーメスのレーザー添加剤などにも使用されています。
体内に吸収されたネオジムは、肝臓や骨に蓄積するといわれていますが、排泄や有害性についてはまだよくわかっていません。

タングステン

タングステンは、すべての金属の中で最も融点（溶ける温度）が高い金属です。硬度や耐熱性が高いため超硬工具としての利用がほとんどです。そのほかに、電球のフィラメントや電子機器、自動車などに使用されています。有害性については知見がないため不明な点が多くよくわかっていません。特殊な環境下で働く労働者において、金属粉曝露による呼吸器系の症状が報告されています。

タリウム

タリウムは、特に毒性の高い金属の一つです。合金やカメラなどに使用されている高屈折ガラス（レンズ）の材料として利用されています。毒性が非常に高いので殺鼠剤としても利用されていましたが、味やにおいがなく見分けが困難なため誤食事故が多発し、現在では使われていません。特殊な環境下で働く労働者においては、長期的な曝露によって脱毛や神経障害、麻痺などが報告されています。

プラチナ（白金）

プラチナは主に自動車排ガス浄化用の触媒や宝飾品に利用されています。そのほかに、電気・電子工業用部品や医療用では抗がん剤、歯科金属として使用されています。プラチナは安全性が高い金属とされていますが、ピアスや指輪などで接触性の皮膚炎やアレルギーになることもあります。