マグネシウム


    マグネシウムはすべての細胞や骨に広く分布しており、細胞内で核の三次元構造の維持、膜電位の維持、物質の取込みやエネルギー代謝などの基本的な役割に関与しているといわれています。
    生体中のマグネシウムの中で血漿中のマグネシウムは、比較的厳密に一定量に保たれているといわれており、腎臓の糸球体でろ過を受けないアルブミンなどの高分子タンパク質と結合したものと低分子化合物と結合したもの、及びイオン化したものとして存在し、この中で生理活性を持つのはイオン化したマグネシウムであると考えられています。


    摂取


    食品中では、加工していない細胞を丸ごと食べる食品中に100gあたり20~30mgのマグネシウムが含まれているといわれています。また、海水中にはナトリウムの10分の1程度のマグネシウムが存在するので、魚介類はマグネシウム含量が高いといわれています。マグネシウムは制酸剤として胃腸薬に配合されたり、緩下薬などに用いられるほか、腹腔内のX線撮影のときなどに浣腸瀉下薬として使用されています。
    マグネシウムの摂取量が不足している場合は、腎臓による調節機構が発動し尿中排泄が低下して欠乏を防止するので、急性の欠乏症状は無いといわれています。過剰摂取の場合は消化管での吸収抑制や尿中への排泄亢進などの調節機構が発動するので下痢や軟便以外は稀であるといわれています。
    厚生労働省は、健康な個人または集団を対象に、国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものとして「日本人の食事摂取基準(2010年度版)」を策定しました。
    日本人を対象とした研究を重視して、4.5mg/kg体重/日を成人の体重当たりの推定平均必要量とし、変動係数を10%と見込んで、推定平均必要量に1.2を乗じた数値を推奨量と設定しています。


    食事摂取基準(単位:mg/日)


    男性

    年齢推定平均
    必要量
    推奨量目安量耐容
    上限量
    0~5(月)20
    6~11(月)60
    1~2(歳)6070
    3~5(歳)80100
    6~7(歳)110130
    8~9(歳)140170
    10~11(歳)180210
    12~14(歳)250290
    15~17(歳)300360
    18~29(歳)280340
    30~49(歳)310370
    50~69(歳)290350
    70以上(歳)270320
    妊婦(付加量)
    授乳婦(付加量)

    女性

    年齢推定平均
    必要量
    推奨量目安量耐容
    上限量
    0~5(月)20
    6~11(月)60
    1~2(歳)6070
    3~5(歳)80100
    6~7(歳)110130
    8~9(歳)140160
    10~11(歳)180220
    12~14(歳)240290
    15~17(歳)260310
    18~29(歳)230270
    30~49(歳)240290
    50~69(歳)240290
    70以上(歳)220270
    妊婦(付加量)+30+40
    授乳婦(付加量)

    1. 通常の食品からの摂取の場合、耐容上限量は設定しない。通常の食品以外からの摂取量の耐容上限量は、成人の場合 350mg/日、小児では 5mg/kg 体重/日とする。

    平成20年の国民健康・栄養調査によるとマグネシウムの摂取量は、男性が平均258mg/日、女性が平均231mg/日と報告されており、上記の推定平均必要量に近い量を摂取している結果を示しています。

    代謝・排泄


    経口摂取されたマグネシウムは消化管で吸収されますが、過剰量が摂取されると吸収が抑制されすみやかに糞便(下痢便、軟便)として排泄されます。また吸収された過剰量のマグネシウムはすみやかに尿として排泄されるといわれています。


    参考資料

    • ミネラルの事典  朝倉書店
    • 日本人の食事摂取基準(2015年版)  厚生労働省









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