- 鉄は食品から摂取しても、体内に吸収されるのはわずか8%と言われています。
- リラックスしよく噛んで食べると、胃液がよく分泌され鉄の吸収をよくします。
- 酢や梅干し、かんきつ類などの酸味のある食品や香辛料も胃粘膜を刺激して胃酸の分泌を高めてくれます。
- これらの食品には鉄の吸収を阻害するリン酸カルシウムが多く含まれます。
- 偏食で栄養が正しく摂取されていないことが考えられます。
- 血液は鉄分だけでなく、タンパク質やビタミンB群・ビタミンC・銅などからも作られます。
- お肉とつけ合わせに、緑色野菜などを一緒に食べた場合、単品で食べるより2.4~3.5倍も、鉄の吸収率がアップしたとの報告もあります。
- 調理器具を鉄素材にすることで調理器具からの鉄の摂取も期待できます。
- 食物繊維の多い野菜中心で魚や肉などの動物性タンパク質の不足は鉄の摂取不足と吸収阻害を起こします。
- カロリー摂取量と鉄摂取量は比例します。
- カロリーだけを気にして甘いものを食事の代わりにしている場合、材料となる乳製品や砂糖、小麦粉、果物には鉄がほとんど含まれていないため鉄不足になります。
貧血
成人男性の鉄欠乏性貧血はあまりみられないのに対し、成人女性の約10%は鉄欠乏性貧血であるといわれます。これは女性特有の生理現象である月経により鉄が自然に体外へ排出されてしまうためです。また、鉄欠乏性貧血までではないカクレ貧血といわれる女性も約40%いるといわれています。
「毛髪ミネラル検査」でミネラルバランスや栄養の過不足を把握し、生活習慣の見直しとミネラルバランスを整えることで貧血にならない身体づくりをしましょう。
女性に不足する鉄
女性は1回の月経周期で約30~60ccの出血をします。これは鉄に換算すると15~30mg、成人の1日の推奨量は月経のある女性が10.5mgまた貧血傾向があるときは15~20mgは必要とされています。しかし、平成21年度の国民健康・栄養調査では通常の食品から女性は平均7.3mg、強化食品・補助側品から平均0.3mg摂取していますが、十分に摂取しているとはいえない状況です。
鉄欠乏性貧血とカクレ貧血
鉄欠乏性貧血
貧血の原因はいくつかあります。最も多い原因は赤血球中のヘモグロビンの重要な構成要素ある鉄が不足することによる鉄欠乏性貧血です。ヘモグロビンは、身体のすみずみに酸素を運ぶ働きをしています。従って、ヘモグロビンが減少することで全身が酸素不足の状態になり、めまいや動悸、息切れ、立ちくらみ、頭痛、疲れやすいなど様々な症状があらわれます。
カクレ貧血
特に思春期の女性や若い女性に多く見られるのが「カクレ貧血」です。これは、貧血の一歩手前の段階(貧血予備軍)ともいわれ、成人女性の約40%がカクレ貧血を疑われています。思春期の場合、急速な成長とともに生理が始まるなど、鉄の必要性が顕著に増加する一方で鉄の摂取が不足し、需要と供給のバランスがとれなくなるためです。カクレ貧血はじわじわと進行し、自覚症状に乏しく、本人が自覚していないケースも多いため、医療機関の調査からも思春期の女性や若い女性のカクレ貧血が深刻な問題として浮上しています。
ミネラル・ビタミンと貧血予防
有害金属の排泄は重要です。鉛の過剰蓄積は赤血球のヘモグロビン合成を阻害するため貧血の原因になります。また、カドミウムやヒ素の過剰蓄積も同様に貧血を引き起こすとされています。
有害金属の排泄促進にはカルシウム・マグネシウム・セレン・亜鉛・鉄などの摂取が重要となります。
カルシウム
ビタミンB12が欠乏することで生じる巨赤芽球性貧血(悪性貧血)はカルシウム不足によるビタミンB12の吸収不良も一因です。また、鉛はヘモグロビンの合成障害を起こすため貧血の誘起物質となります。カルシウムはこの鉛の吸収を抑制する作用があります。
マグネシウム
マグネシウムが不足しているとカルシウムの尿中への排泄が増大するためカルシウムの損失を招きます。この損失を防ぐにはマグネシウムの摂取が必要となります。
セレン
セレンはカドミウムや鉛などの有害金属を中和する毒性軽減作用があります。
亜鉛
妊娠時や中年婦人、重症心身障者、長期経管栄養者では亜鉛欠乏による貧血が10~30%の頻度でみられるため、亜鉛不足にも注意が必要です。また、亜鉛はカドミウムや水銀などの有害金属の毒性軽減作用があるメタロチオネインの構成成分にもなっています。
鉄
鉄には、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類あり、それぞれ特徴があります。しかし、鉄は過剰に摂りすぎると活性酸素を増やし、障害を起こす可能性があるので注意してください。また、鉄が欠乏すると有害金属である鉛の吸収が亢進されやすくなります。
■ヘム鉄
ヘム鉄は鉄とたんぱく質が結合した物質で血や筋肉になりやすいため貧血予防にとても効果があります。また、ヘム鉄は非ヘム鉄の約5~20倍吸収率がよく、赤身肉(特にレバー)や魚といった一般的に動物性の食品に多く含まれています。魚類は、白身よりイワシやマグロなど青魚や赤身魚の方が鉄は豊富に含まれています。貝類にも多く含まれているので味噌汁やスープなど、お汁ごといただける料理にするのが適しています。
■非ヘム鉄
非ヘム鉄はなかなか身体に吸収されにくい物質で野菜や大豆などの植物性食品に含まれています。肉類や魚介類といった動物性タンパク質といっしょにとると吸収がよくなります。しかし、牛乳やチーズ、卵には吸収する作用がないため注意してください。
食べ合わせに注意
コーヒーやお茶(タンニン)、玄米(フィチン酸)、ポリフェノール、リン酸カルシウムなどは、鉄の吸収を阻害するといわれているので注意してください。鉄サプリメントを摂っている場合お茶の飲料はしばらく時間を空けた方が良いでしょう。但し、現在の貧血改善のための鉄製剤などは、タンニンに影響されることはないとされています。
銅
銅の欠乏は白血球を減少させ、鉄の吸収を抑制するため鉄欠乏性貧血が発症する原因の一つとなります。また銅は白血球の成熟も促すミネラルです。
ビタミンC
鉄を吸収しやすい形に変える作用があります。鉄(ヘム鉄・非ヘム鉄)を摂取する際にはビタミンCの豊富なレモンを添えることで鉄を吸収しやすくします。また、ビタミンCと鉄の両方が摂取できるブロッコリーや切り干し大根、枝豆、つまみ菜などをしっかり摂取することも心掛けてください。
生活習慣と貧血予防
ミネラルとビタミンの摂取だけでは不十分で、生活習慣を改善することも必要です。
これらを心掛けることでさらなる改善に近づけましょう。