アスパラギン酸


    アスパラギン酸はアスパラガスから単離されたアスパラギンの加水分解物として発見され、生体内ではエネルギーを産生するクエン酸回路に関与しています。また尿素(シトルリン)回路に関与しアンモニアの解毒作用にも利用されています。
    一般的に疲労回復を助け抵抗力を高めるといわれており、経口・経腸栄養剤やアミノ酸輸液などに用いられています。しかしながら、ヒトでの有効性について信頼できるデータは今のところ見つかっていません。
    近年、アスパラギン酸と老化との関係に注目が集まっています。アミノ酸には立体構造が左右対称のL体とD体の2種類のアミノ酸があり、体内で生合成されるアミノ酸はL体だけと考えられてきました。しかし、分析技術の向上で生体内の様々な組織でD体が存在することが判明し、特に、眼や脳、皮膚などの組織で加齢に伴ってD体アスパラギン酸が増加し、蓄積していることが明らかになってきました1-2)。これは、紫外線や活性酸素などの影響によりL体からD体へ変化するのではと考えられています。これらの研究は、白内障やアルツハイマー病、動脈硬化など加齢性疾患と関連していると考えられ、今後、その成果が期待されています。

    • 他のアミノ酸項目においてL体・D体の表記がない場合はL体アミノ酸についての記載となります。

    参考資料

    1. タンパク質中のD-アミノ酸と老化. 安心科学アカデミー. http://www.anshin-kagaku.com/
    2. 加齢性疾患におけるタンパク質中のアスパラギン酸残基のラセミ化. 生化学. 2008 Apr;80(4):287-293.









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