メチオニン
メチオニンは側鎖に硫黄を含んだ含硫アミノ酸の一つで、ホモシステインやシステイン、タウリンなど他の含硫アミノ酸の起源物質です。
主に脂質代謝に関与し、肝機能の維持に重要で抗脂肪肝の薬として医療でも利用されています。またメチオニン活性化酵素の作用により生合成されるS-アデノシルメチオニン(活性メチオニン)は、様々な生体物質をメチル化する際にメチル基の供給源として重要な役割を果たしています。
一般的にメチオニンはうつ病の症状を改善するといわれています。これはメチオニンそのものに改善作用があるのではなく、神経伝達物質のひとつであるアセチルコリンの生合成に3つのS-アデノシルメチオニンが必要であることや、S-アデノシルメチオニンにうつ病の改善作用があるとの報告が研究規模は小さいながら発表されているためと考えられます1-4)。
メチオニンは毛髪に良いともいわれています。これは毛髪を構成するケラチンの主要な構成成分であるシスチンが、メチオニンから数段階を経て生合成されるシステイン由来であることが関係していると考えられます。
参考文献
- S-adenosyl-l-methionine (SAMe) as antidepressant: meta-analysis of clinical studies. Acta Neurol Scand Suppl.1994;154:7-14.
- Oral S-adenosylmethionine in depression: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial. Am J Psychiatry. 1990 May;147(5):591-595.
- Double-blind, placebo-controlled study of S-adenosyl-L-methionine in depressed postmenopausal women. Psychother Psychosom. 1993;59(1):34-40.
- Effects of S-adenosylmethionine augmentation of serotonin-reuptake inhibitor antidepressants on cognitive symptoms of major depressive disorder. Eur Psychiatry. 2011 Jun 10. [Epub ahead of print]
|