リジン
リジンはリシンともいわれ、体組織の修復や成長、ホルモンや酵素の生合成などに関与し、必須アミノ酸の中で最も不足しがちなアミノ酸です。植物性タンパク質中での含有量が低く、特に小麦やトウモロコシにおいては極端に少ないため、これらを中心とした食生活においては牛乳やタマゴ、肉類などの動物性タンパク質の摂取が重要となります。
リジンは血液凝固に関与しています。血液を溶かす「プラスミン」の働きを抑える作用があるトラネキサム酸(図1.参照)は、リジンの血液凝固作用と化学構造を元に人工的に合成された物質で、止血や炎症を抑えるのに有効な物質です。医療分野では止血剤や抗炎症、抗アレルギー剤として、一般的には風邪薬や歯磨剤、口腔洗浄液として使用されています。また、美白効果もあるとされ、シミ対策として化粧品などにも使用されています。
リジン単体では、単純ヘルペスの早期治癒や症状緩和、再発低減に対して有効性が認められ、また総合失調症を持つ方への抗精神薬補助薬として症状の緩和がなされるとの予備的な研究も報告されています1-4)。
図1 L-リジンとトラネキムサム酸
参考文献
- Lysine as a prophylactic agent in the treatment of recurrent herpes simplex labialis. Oral Surg Oral Med Oral Pathol. 1984 Dec;58(6):659-666.
- Treatment of recurrent herpes simplex infections with L-lysine monohydrochloride. Cutis. 1984 Oct;34(4):366-373.
- Success of L-lysine therapy in frequently recurrent herpes simplex infection. Treatment and prophylaxis. Dermatologica. 1987;175(4):183-190.
- L-lysine as adjunctive treatment in patients with schizophrenia: a single-blinded, randomized, cross-over pilot study. BMC Med. 2011 Apr 18;9:40.
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