緑内障(POAG)の危険因子としての鉛の蓄積
Lead Accumulation as Possible Risk Factor for Primary Open-Angle Glaucoma
結城 賢弥 ・ 坪田 一男 (慶應義塾大学医学部) 他
要 約
- 毛髪中鉛濃度と原発性開放隅角緑内障(POAG)との関係を評価した。
- 原発性開放隅角緑内障の日本人患者98 人 (男性40 人、女性58 人;平均年齢57.6±10.8歳)と、コントロール群(男性131 人、女性114 人;平均年齢56.0±12.8 歳)はこの研究のために募集した。
- 毛髪中鉛濃度は誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)を使って測定された。(検査機関=ら・べるびぃ予防医学研究所)
- 原発性開放隅角緑内障群とコントロール群の毛髪中鉛濃度は、Mann-Whitney U 検定法を用いて比較検定した。
- サブグループ解析として、低眼圧性緑内障群と高眼圧性緑内障群、コントロール群の毛髪中鉛濃度を、一元配置分散分析法を用いて、比較検定した。
- 女性の原発性開放隅角緑内障群の鉛蓄積レベルは、コントロール群に比べて、有意に(P=0.03)高かった。(下図右 参照)
- 女性の低眼圧性緑内障患者群の鉛蓄積レベルは、コントロール群2 に比べて、有意に(P=0.02)高かった。(下図左 参照)
- 女性の原発性開放隅角緑内障患者群、中でも低眼圧の患者で特に、毛髪中鉛蓄積量(全身の鉛蓄積量を反映する)が高いことが観察された。鉛の蓄積が、低眼圧性緑内障における視神経障害の未知の危険因子である可能性が示唆された。
原文(英語)はこちら
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