加齢とミネラルに関する研究(第1報) :加齢と毛髪中ミネラルとの関係
2006年5月第6回 日本抗加齢医学会総会
ら・べるびぃ予防医学研究所 安田 寛
目的
生物の固有の寿命は、生体が保有する活性酸素消去能(SOD活性)と相関すると言われている。SODの活性発現には亜鉛、銅及びマンガンが不可欠であり、更に、鉄とセレンは活性酸素種の消去に欠かせないミネラルである。本研究では、日本人成人男性の毛髪中必須及び有害金属など24元素を測定し、加齢とミネラルの関係について検討した。
方法
関東地区の20-60歳一般成人男性1540名の毛髪試料を用いた。毛髪中ミネラル量は、毛髪を秤量、洗浄、アルカリ溶液にて加熱・溶解した後、誘導プラズマ質量分析器(ICP-MS;Agilent7500i、7500c)を用いて測定した1)。
結果と考察
測定した24種のミネラルの中で、加齢と正の相関を示したのは水銀であった(r=0.418、p<0.0000)。次いで、硼素(r=0.187)、カリウム(r=0.183)、砒素(r=0.178)、セレン(r=0.156)の順で、いずれも年齢との間に有意な(p<0.0000)正の相関を示した。一方、加齢と負の相関を示したミネラルはカルシウムであった(r=-0.206、p<0.0000)。次いで、マグネシウム(r=-0.177)と銅(r=-0.150)が続き、亜鉛も同様の傾向を示した(r=-0.101,p<0.0001)。
日本人男性では水銀が加齢とともに蓄積していること、並びに、毛髪中の水銀値が加齢の指標となる可能性が示唆された。一方、加齢と負の相関を示したカルシウム、マグネシウム、銅、亜鉛は、加齢に関わる生体反応を抑制するミネラルと推測された。
加齢と負の相関を示したミネラルの適度な摂取がアンチエイジングにつながる可能性が考えられた。
文献
- Yasuda H et al. Biomed Res Trace Elem 16:39-45(2005)
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