自閉症児とミネラルに関する研究(第3報) :自閉症改善症例
2006年3月第76回 日本衛生学会総会
ら・べるびぃ予防医学研究所 安田 寛
目的
昨年の本総会で自閉症児がミネラル不足の状況にあることを報告した。今回、症状の改善が見られた自閉症児の中で、ミネラルの経過を追跡できた症例について報告する。
対象・方法
毛髪ミネラル検査を受けた自閉症児の中で、ミネラル・ビタミンなどを含む栄養補助食品を継続摂取し、自閉症状の改善並びにミネラルに変動が見られた4症例。毛髪中ミネラル量はICP-MSを用いて測定した。
結果・考察
症例1-3では、毛髪中の有害金属(鉛、カドミウム、アルミニウム)が初回よりも2回目の検査で高い値を示し、3回目に初回値と同レベルあるいはそれ以下の値を示した。これらの所見は、対抗ミネラルなどの摂取によって体内に蓄積していた有害3元素の解毒・排泄が促され、毛髪中に排出された結果と推測された。水銀と砒素のレベルは一定した動きではなかった。症例4は、初回検査で、アルミニウムの異常高値を示した。加えて、鉄、マンガン、バナジウム、コバルトなどの元素も異常に高く、複合汚染が推察された。本症例は、2回目の検査でこれらの異常値がほぼ正常化した。これらの結果から、少数例ではあるが、自閉症児のミネラル異常の改善と共に症状が改善される可能性があることが示唆された。
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